2010年、私が選ぶ「10大ニュース」はこれだ!!- 検察、小沢、M-1、サンデル・・・
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いやぁ、もうすぐ2010年が終わりますな。
今年もいろんなことがありました。
今年、印象に残ったニュースについて簡単にコメントしたいと思います。
ここで選んだニュースの他に 所在不明高齢者、児童虐待、口蹄疫、北朝鮮の砲撃、ギリシャ危機などなど重大なニュースがたくさんありました。

・検察の不祥事
今年は、前田元検事の証拠改ざん事件をきっかけにして、検察の不祥事が世間の耳目を集めました。しかし残念ながら・・・といいますか、従来から検察というのはそういう組織なのです。とりわけ特捜検察は・・・。いや、もちろん中には、まともな検事さんもおられます。しかし、検察というのは、検察の裏金を内部告発しようとした検事を突然微罪で逮捕したり、拷問まがいの取調べをして無理やり調書に署名させたり、調書を偽造したり・・・と、トンデモナイことを平気でやっている組織なのです。本来、新聞やテレビなどのメディアは、このようなことをする検察に対して徹底的な批判をするべきであるのに、それを怠ってきました。なぜなら、検察の意に沿わない報道をすると、「出入り禁止」という情報隔離処分を受けてしまうからです。今、検察改革の機運が高まっていますが、これを機に徹底的な改革が必要だと思います。被疑者、参考人全員の取調べを、全面的に録音・録画(可視化)するべきです。それにより捜査に支障が出るというのなら、司法取引の合法化やおとり捜査の要件緩和など捜査権限の拡大も検討する必要があります。成熟社会を迎え、価値観が多様化し、共通前提(「同じ日本人なのだから腹を割って話そうよ」)がなくなった今日においては、もはや密室の中で取調べを行うという捜査手法は通用しないということを、検察の方々は理解しなければなりません。
 
・ジャーナリズムが官房機密費で汚染
改めていうまでもありませんが、ジャーナリズムの目的とは、簡単に言えば権力(暴力装置)の監視です(ちなみに「暴力装置」と言う言葉はれっきとした学術用語であり失言の類ではありません)。一般市民の自由を守るためには権力が必要であり、権力なくして市民の自由を保障することはできません。しかしその一方で権力というのは濫用の危険があります。権力が濫用されたら市民の自由は侵害されてしまいます。そこで権力に対する徹底した監視が必要となります。ジャーナリズムはその権力を監視する機能を担っているわけであります。ところが、そのジャーナリストが政権から金をもらっていたとなると・・・。それはまさにジャーナリストとしての自殺行為といえると思います。官房機密費から金をもらっていたとの疑いのある新聞社や通信社の(元)政治部記者の皆さんは、説明責任をしっかり果たしていただきたいと思います。ちなみに、日本の新聞・テレビは、①記者クラブがあること、②クロスオーナーシップ(新聞、テレビ、ラジオを同一資本が系列化すること)が許されていること、③新聞が再販価格維持制度で守られていること、④放送免許を政府から直接いただいていること、などから、他の民主主義国と比べて権力の監視機能が著しく制約を受けていると言われています。情けないですね。

・鳩山退陣、菅迷走
昨年、政権交代が実現したわけですが、民主党政権はうまく政権運営をできていません。背景には官僚のサボタージュがあると思いますが、それ以上に政治家が官僚をうまく使いこなせていないという点があると思います。今まで自民党政権は官僚に政策を丸投げしていました。これはいけません。官僚は選挙で選ばれる存在ではないから直接的な民主的コントロールが及ばず、その結果、権力を濫用的に行使してしまいがちです。そのため、政治家が政治を主導する必要があります。そこで民主党は、「政治主導」を掲げたわけですが、「政治主導」の意味を、政治家だけで政治を行うことだと誤解してしまったようです。「政治主導」の本来の意味は、政治家が方針を決めそれに基づいて官僚を使いこなすという意味なのです。官僚はその道の専門家です。その専門的技術的な知識を生かさないと政策立案、政権運営はとてもできないのです。官僚のメンタリティ(注1)を理解したうえで、やる気のある官僚とそうではない官僚を区分けして(それこそ、ここで「仕分け」をしてもらいたい)、やる気のある官僚を徹底的に活用する必要があります。そのためには公務員制度改革を行い、幹部人事の流動化、一元化などを行う必要があると思います。

・普天間基地問題
沖縄などに駐留するアメリカの空軍、陸軍、海軍が日本の安全保障にとって重要な役割、つまり抑止力になっているということは誰もが認める事実だと思います。しかしアメリカ海兵隊が抑止力になっているのかどうかは議論が分かれるところです。イラク戦争やアフガン戦争を見ればわかるとおり、今の戦争では第一陣(ファーストアタック)はミサイルや爆撃機での攻撃です。海兵隊はその後、1ヶ月くらい経ってから入っていきます。であるならば、日本の防衛上、沖縄に海兵隊が存在する必要があるのか。北マリアナ諸島テニアンで十分ではないか。疑問が生じます。もちろんこれに異議を唱える人もいるでしょう。ならば、この点についての徹底的な国民的議論をするべきです。ところが、マスコミがあまりこの点を報じないからでしょうけど、到底、国民的議論がなされているとは思えません。沖縄は、基地と引き換えに本土から補助金・交付金を引き出す依存経済から離脱し、観光などを中心とする自立した経済に移行するべきです。でないと、沖縄の豊かな観光資源がコンクリートで覆われ、ますます依存体質が深まり、今後、沖縄の自立は不可能となってしまうことでしょう。財政状況の厳しく破綻寸前と言われる中央政府にこれ以上依存するのは大変危険です。本土の人は(もちろん僕も含めて)、沖縄の基地問題についてもっと関心を持つべきだと思います。沖縄差別をやめましょうよ。

・尖閣ビデオ流出
テレビなどでの街角のインタビューを見ていますと、「国民の知る権利」という言葉を使う人が多くいました。民主主義国家では、何が国益なのかの判断は最終的には国民がしなければなりません。である以上、徹底した情報公開によって、政府は、国民の知る権利に奉仕する必要があります。もちろん国民は政府よりも過激になりがちですので、世論の沸騰を避けるために、全ての情報を直ちに公開する必要はないと思います。しかし、一定期間経過後は、人権侵害などの例外的なケースを除いてすべて公開するべきです。民主主義国家では政府の持っている情報は国民の共有財産です。海上保安官の一色正春さんがビデオをYouTubeに流出させました。法的手続きを経なかったという点で、法治主義のもとでの公務員のあり方として問題アリの行動ではありますが、同情すべき余地もあります。ちなみに、尖閣ビデオの問題とは直接関係がありませんが、岡田外務大臣(当時)が日米密約文書を公開し、さらに外交文書についていわゆる「30年ルール」(30年後にすべて公開)をいうものを設定しました。記者クラブメディアはあまり報じませんでしたが、とても評価できる対応だったと思います。

・小沢一郎、強制起訴へ
小沢一郎氏が検察審査会の2度の起訴相当議決により来年強制起訴されることになりました。どういう被疑事実で起訴相当となったのかご存知の人がどのくらいいるのでしょうかね。おそらくほとんどの人が知らないのではないかと思います。被疑事実はいわゆる「期ずれ」です。2004年に記載すべきだったのに2005年に記載したという事実。ただそれだけ。今までは政治資金収支報告書の訂正で済んでいたような大したことのない事実です。こういう事実で本当に罪を問えるのか、どうも怪しい。かつて、どちらかというと小沢氏に批判的な検察OBの方が石川議員の逮捕の際にこのように仰っていたことを記憶しています。「こんな形式犯で国会議員を逮捕するなんてありえない。これはあくまで入り口であってこの後に裏金とか斡旋収賄とかという事件があるに違いない」と。ところが、裏金の事実も斡旋収賄の事実もまったく出てきませんでした。あまり報道されていませんが、大久保秘書の公判で検察側証人として出廷した西松建設の元部長が「政治団体はダミーではなかった」と証言しています。西松事件は無罪となる可能性が高くなりました。ちなみに証拠改ざん事件の前田元検事が大久保秘書の事件の調書作成に関わっています。陸山会事件にも関わっています。水谷建設社長の取調べにも関わっています。いやはや、検察って恐ろしい組織ですね。まあ、本当に恐ろしいのは検察ではなくて、検察の背後にいる人たちですが。

・内部告発サイト、ウィキリークス
ウィキリークスというのは、世界中の内部告発情報を、インターネットを通して集め、公表するというサイトです。日本では今年、多くの人に知れ渡るようになりました。アメリカ兵がロイターの記者を意図的に射殺した映像は衝撃的でした。公表された情報はたくさんのジャーナリストが情報の中身を検証し正確なものかを判断したうえで公表されたものです。ですので、基本的には信用に値するものばかりだと思います。しかし、中にはジャーナリストも見抜けなかったガセネタもあるかもしれませんし、政治的意図(例えば政敵を貶めるなど)で流された情報もあるかもしれませんので注意が必要です。ウィキリークスなどの内部告発サイトの登場により、今後は、様々な変化が起きるでしょう。アメリカのブッシュ政権が行ったような、嘘の情報を流したり外国の脅威を強調したりすることにより人々を大量動員するという手法を採用することは困難となります。さらには既存メディア(新聞など)の一部の機能(政府などが隠している情報を国民に知らせる機能)がウィキリークスなどの内部告発サイトに移行することが予想されます。昨今、日本の記者クラブメディアがウィキリークス批判(アサンジ氏への批判)を繰り広げていますが、この背景にはこのような「俺たち既得権益を奪われたくない!!」という記者クラブメディアの浅ましき動機があるのです。困ったもんです。

・M-1グランプリ終了、笑い飯グランプリ獲得
毎年、年末が近づくと、どのコンビが決勝に進出するのか、ソワソワしながら発表を待ちわび、決勝当日は食事を早めに済ませ、衣服を整え正座をし、手に汗かきながら番組を観る。僕にとってこれが毎年の恒例となっていました。若手漫才師ナンバー1を決めるM-1グランプリ。今年、幕を閉じました。最後の年となった今年、栄えある栄冠に輝いたのは、決勝進出を毎年果たしながらも、グランプリを逃し続けた笑い飯のお二人でした。10年前から予めシナリオが書かれていたかのような劇的なフィナーレとなりました。心から笑い飯のお二人に「おめでとう」と言いたいです。突然の番組終了には様々な憶測が流れています。ただしどうであれ、M-1は、お笑いの世界の中での一つの伝説として末永くお笑いファンの記憶の中に留め置かれることでしょう。なかなか日の目を見ない若手漫才師にとってM-1の舞台に立つことが大きな目標となっていました。大きな目標があるから、辛く厳しい修業の毎日を耐えることができました。こういう人たちのためにも、もちろんお笑いファンのためにも、また形を変えて復活してもらいたいと思います。

・サンデル「正義」ブーム
『ハーバード白熱教室』『これからの「正義」の話をしよう』のマイケル・サンデル教授がブームになりました。これまでは、勉強法だとか仕事術を扱った実務的なノウハウ本がベストセラーの上位を占めていました。ところが、リーマンショック後、アメリカ流の強欲的な資本主義の先行きに暗雲が立ち込め、漠然とした不安を抱く人たちがたくさん出てくるようになりました。その結果、ノウハウ本に満足できない人たちが増え、こういう人たちは原理的・古典的な教養に興味を抱くようになりました。サンデル教授ブームの背景にはこういった点があるようです。サンデル教授の政治哲学というのはコミュニタリアニズム(共同体主義)です。リベラリズム(自由主義)やリバタリアニズム(自由至上主義)の考え方では、人がどう生きるかは基本的にその人の自由であり、政府は人の生き方について中立的であるべきだ、とします。中立的であることが「正義」であると考えるのが、リベラリズムやリバタリアニズムです。一方、コミュニタリアニズムでは コミュニティ(地域や家族といった比較的小さな共同体を指す)とのつながりや、そこおいて共通する「善」(共通善)を「正義」の不可欠な構成要素と考えます。つまり善き生き方とは何かをコミュニティのみんなで追求していこうということです。今、日本では、他者から承認を得られず疎外感を抱いている人が増えています。そういう人たちは、えてして、排外主義的・国粋主義的言動を採りがちです。いわゆる「ネットウヨク」「2ちゃんウヨク」の方々のことですね(注2)。とりわけ、そういう人たちにサンデル教授の本を読んでもらいたいですね。いい歳して、いつまでもネトウヨだと、かっこ悪いですよ。

・TPP(環太平洋パートナーシップ協定)
誰もが小学生ぐらいのとき、「日本は加工貿易の国だ」と習ったと思います。資源の乏しい日本は、外国から材料を買う⇒製品を作る⇒外国に売る⇒お金を稼ぐ、ことにより、ご飯を食べている国なのです。ですので、日本人が豊かで安定した生活を維持するためには、貿易が自由にできるということが欠かすことができません。だとすれば、日本も、参加国間で関税などの障壁が撤廃され自由に貿易ができるTPPに参加するべきです。農協が支持母体となっている自民党政権ではTPP参加をなかなか決断できません。民主党政権だから決断できるのです。菅総理はリーダーシップを発揮して、反対議員を説得し、TPP参加を決断するべきです。もちろん、一方で、日本の農業の保護も考えなくてはなりません。安い農産物が入ってくると、日本の農業は大打撃を受けます。安全保障とは、軍事の面だけではないのです。食糧の面での安全保障も考えなくてはなりません。であるなら、他国に過度に依存することなく、自前で食糧を調達できるようにしなければなりません。今まで日本は関税を高く設定することにより農産物の価格を高く維持することによって農業保護を図っていました(価格支持政策・消費者負担)。しかしこれでは、ぬるま湯につかっている、やる気のない農家をも保護することになってしまいます。さらには、消費者は高い農産物を買わなくてはならなくなってしまいます。これからは、価格を維持する農業保護政策を採用することを止め、やる気があり、しかも一定規模以上の農家に対してのみ補助金を直接支払いするという所得補償制度に移行するべきです(所得支持政策・納税者負担)。(注3) 

(注1)小室直樹氏は、官僚のメンタリティは次のようであると述べている。①既存の法律の上で動く。新たな意思決定はできない。②減点主義だから、責任を取りたくない。③入省年次が序列。人事に口出しは無用。④薄給で、天下らなければ割に合わない。⑤権限拡大のためなら一生懸命。(小室直樹著『日本いまだ近代国家にあらず』)
(注2)ネットウヨクの方々の生態については、『g2』6号の安田浩一氏のルポが詳しい。
(注3)中野剛志氏の本を読み、考えを変えました。TPPに反対します。

今年もたくさんのご意見ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いします。
拙ブログは批判、反論、炎上、捨てハン、大歓迎です。
それではよいお年を。
お餅をいっぱい食べましょう。

上記写真は、僕が選んだ、2010年のベストブックである『世界権力者人物図鑑』(日本文芸社)です。

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by asatte_no_houkou | 2010-12-29 00:31 | ニュースまとめ
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