宮台真司 ― 有効性のある脱原発運動とは


東京の渋谷で行われた脱原発デモで、宮台真司先生が脱原発運動のあり方について話をされました。参考になります。
ポイントは、
1、原発を推進している議員に対する落選運動 
2、原発を納入している企業(日立、東芝、三菱)の製品の不買運動 
3、原発がコストやリスクの面で合理性を欠いている点についての懇切丁寧な説明
です。

宮台真司と申します。
「丸激トークオンデマンド」というインターネット番組で10年ぐらい前から脱原発関連の番組をずっとやってきております。

原発が、コスト的にも、リスク的にも全く合理性を欠いたものであることは、現在、「原子力村」の中にいる上層部でさえ、わかっています。
しかしなぜ止められないかというと、今さらやめられないからなんです。
今さら、やめられない。
これは総力戦研究所が「アメリカと戦争すれば必ず負ける」というシュミレーションを出して陸軍参謀本部、海軍軍令部に上奏しているのに戦争に突入したのと同じなんです。
「今さらやめられない」という理屈ですね。
これは東電だけではなくて、民主党の中にも、あるいはあらゆる社会運動団体の中にもある、われわれの悪い癖ですね。
こういう癖から見直していくことも必要です。

あともう一つ。
このデモは単なる出発点ですね。
議員さんとか労働組合員、例えば、電力労連とか電機労連の連中にとっては、こんなデモは痛くも痒くもないんですね。
彼らにとって、例えば政治家にとって何が一番痛いかというと、落選運動ですよね。
原発に対してどのようなスタンスを取るのかによって、投票するかしないかを決めるという落選運動は決定的に彼らは恐い。

あともう一つ。
東電はただの役所みたいなもんですよね。
そこに原発を納入している日立、東芝、三菱、こういう重厚長大産業、昔の軍需産業でもあるこういう企業の製品に対する不買運動、こうしたものを展開していくということ。
企業は営利企業体ですから、儲かると思っているから原発をやっているわけですね。
原発は儲からない、原発をやっていると自分たちの商売が上がったりになると思ったら必ずやめます。
どこの国の企業でもこれは同じです。
政治家に対しては落選運動、原発の様々な納入業者、納品業者に対しては不買運動を徹底して展開していく、そのような有効性、徹底したピンポイントの有効性を狙うような社会運動を展開していかなければならないです。

あともう一つ。
ドイツでは、3.11を受けて地方議会の選挙でグリーン・パーティ、緑の党が第2党になって、第3党の社会民主党と合同すると、第1党、与党になる。
おそらくこれはしばらくすれば、国政のレベルでもそうなるでしょう。
ところが日本はどうでしょうか。
中国地方を中心として反原発を唱えた地方議会の議員はほとんど全部落選しました。
これはなぜか。
われわれが正しい情報を知らされていないからですね。
「絶対安全」という自明性の上に乗っかって生活している人間たち。
たくさんいる。
これはある種の宗教の自明性を同じで、「実は危ないんだ」と思った瞬間に、自明性がガラガラ崩れて不安になってしまうんですよね。
そういう人間たちをいかにして心を解きほぐし、巻き込んでいくのか。
「原発 対 反原発」という、わかりやすい2項図式のままではこういう自明性は壊せませんので、彼らに対して何が合理的で何が大丈夫なのかということを懇切丁寧に伝えていくというような作業も必要となります。
私からのアピールは以上でした。

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by asatte_no_houkou | 2011-05-11 03:09 | 社会の時間
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