【使用者責任】本家の親分を困らせる画期的な判決です
a0029616_19274493.jpg
最高裁、山口組・渡辺芳則組長の「使用者責任」認定
(読売新聞)



■これは、かなり画期的な判決ですよ~

■この判決により、末端の組員の組絡みの不法行為によって生じた損害の賠償責任を本家の組長にも負わせることが可能となりました。




■これまでは不法行為を行った組員に対して賠償請求するしか術がなかったんです。
通常、雑魚の組員は、たいして金を持っていませんよね。
金の無い奴に対して賠償請求をしたところで賠償金は支払われません。

■被害者は泣き寝入りするしかありませんでした。
これでは被害者の保護に欠けます。
こんなことがまかり通る世の中では市民は安心して暮らせない。

■そこで今回の判決は民法715条の使用者責任というものを適用して、本家の組長の責任を認めました。
画期的な判決です。

■組長は、末端の組員と違って金をたんまりと持っています。
これで被害者は救われます。

■民法715条1項は以下のような規定です。


民法715条[使用者責任]
①或ル事業ノ為メニ他人ヲ使用スル者ハ被用者力其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加へタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス但使用者力被用者ノ選任及ヒ其事業ノ監督ニ付キ相当ノ注意ヲ為シタルトキ又ハ相当ノ注意ヲ為スモ損害ヲ生スヘカリシトキハ此限ニ在ラス


■ちょっとわかりにくいですが、この規定は通常
被用者(雇われている人)が、使用者(雇っている人)の事業を行う際に、他人に対して損害を与える行為を行ったときは
被用者のみならず使用者も責任を負うよ、という規定です。

■なんでこんな規定が設けられたかと言うと、
使用者は被用者を使うことによって、自分の活動する範囲が広がって、金儲けの可能性が増えたんだから、それに伴って生じる損害もまた使用者は負担すべきじゃないかと考えられるからです。

■この考え方を報償責任の原理と言います。

■成立要件は


(1)使用者と被用者との間に「使用関係」が存在すること
(2)使用者の「事業を行うにつき」第三者に損害を与えたこと
(3)被用者が不法行為(民法709条)を行ったこと


今回の判決で争点になったのは
(1)と(2)です。

【(1)使用関係】

■組長と末端の組員(実行犯は3次団体、運転手役は4次団体の組員)との間に「使用関係」があるのでしょうか。
「使用関係」とは、実質的な指揮監督関係のことを言います。

■判決は「渡辺組長と下部組織の構成員との間には、同事業につき使用者と被用者の関係が成立していた」としました。
理由は以下です。

(1)山口組は、下部組織の構成員にも山口組の名称、代紋を使う資金獲得活動(「しのぎ」と言います)を容認していた。
(2)下部団体の資金獲得活動の収益は上部団体に上納され(上納金)、渡辺組長に取り込まれていた。
(3)ピラミッド型組織の山口組の頂点に立つ渡辺組長の意向は、末端組織の構成員にまで伝達徹底される体制であった。


【(2)事業性】

■では、対立する暴力団との抗争が、暴力団の「事業」と言えるのでしょうか。
「事業」とは、使用者の事業自体だけではなく、事業と密接に関連する行為も含みます。

■判決は、暴力団間の抗争も「事業」にあたるとしました。

■暴力団の資金獲得活動(しのぎ)というのは、暴力団の事業に当たると言えますね。
これは、ほぼ問題が無いと思います。

■では抗争は、資金獲得活動と密接に関連する行為と言えるのでしょうか。

■判決は「資金獲得に不可欠な威信を維持するための抗争は、事業と密接に関連する行為と言える」としました。
なぜなら、縄張りや威信の維持は、資金獲得活動に不可欠なもので、他の暴力団と緊張対立が生じれば暴力行為を伴う対立抗争は不可避だからです。


■冒頭で述べましたとおり、
この判決が出たことにより今後は、あらゆる配下の組絡みの事件の責任を組長が取らなくてはいけなくなります。
この判決は、従来配下のチンピラからは損害賠償請求訴訟を起こしても金を取れなかったのが、金のある本家の親分から国家権力を使って確実に金を取れるという画期的なものなのです。

■これは暴力団の執行部にとっては堪ったものではなく、今後死活問題に発展するでしょう。
暴力団のシステム自体を変えなければならないくらいの大問題です。

人気blogランキングへ
[PR]
by asatte_no_houkou | 2004-11-13 14:01 | 犯罪・刑罰・裁判
<< 【韓国】「親北朝鮮サイト」への... 本当に日本の治安は悪化している... >>