【NHK「政治介入」問題】放送の自由と放送法
安倍幹事長代理怒る「捏造」…NHK番組改変報道
自民党の安倍晋三幹事長代理と中川昭一経産相が「圧力」をかけたと朝日新聞が報じたNHK番組改変報道に絡み、NHKの担当デスクだったチーフプロデューサーが昨13日、記者会見をして告発したが、安倍氏は「伝聞にすぎない」と強く否定、証明を求めた。中川氏も「名誉棄損だ」と法的措置も示唆するなか、NHK側は「圧力」の存在を否定している。(zakzak)
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■もしこのチーフプロデューサーの長井氏の主張が正しいものであるのならば、公権力による報道の自由(表現の自由の一環として保障される)に対する「事前抑制」として大問題になります。安倍氏や中川氏の責任は重い。

■ただ現段階においては、記事にあるとおり当事者間の言い分に食い違いがあるので、この点はとりあえず措いといて、今回は事実が確かなところだけその問題点について触れたいと思います。


■まず放送法の条文をご覧ください。




第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

■次に憲法21条1項をご覧ください。
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

■このように憲法上表現の自由が保障されています。
このブログにおいて、何度も表現の自由の重要性について書きました。
民主主義の要諦となる自由が表現の自由なのです。

■ただ、ここで問題が生じます
例えば「お前は○○だろ?○○は○○○○じゃないか!お前なんか○○だ!」などという表現は、他人の名誉・プライバシーを侵害しますよね。
しかし一方で、このような表現をすることも表現の自由により保障されます。

■これは表現の自由と名誉権・プライバシー権が「ぶつかりっこ」しているわけですね。
このときに、この「ぶつかりっこ」を調整するのが「公共の福祉」と言う原理です。
憲法12条13条に規定があります。
「公共の福祉」による調整の結果、場合によっては表現の自由は制限を受けます。

■さて、放送法ですが、
これは、知る権利と放送の自由(電波メディアの報道の自由)との「ぶつかりっこ」の問題なんだと思います。

■知る権利は、我々が主権者(国の政治を最終的に決定する権能を有する者)として適切な判断をする上で前提となる重要な権利です。
情報がないと私たち国民は適切な判断ができませんからね。

■放送の自由は、この知る権利に奉仕するものとして最大限に保障されなければなりません。
ただ、だからと言ってこれは無制限ではありません。
知る権利を実質的に保障するために最小限度の制約が課せられるというべきです。
知る権利を奉仕するために存在する放送の自由が、知る権利を実質的に保障するために制限されるのです。(「公共の福祉」による調整)

■テレビ放送は制限の必要性が強い。
なぜなら、テレビ放送の、私たち視聴者に対する影響力はものすごいものがあるからです。
テレビを付けてたら、放送が家庭のお茶の間に直接に侵入してきます。
そして動画や音声を伴う映像が強烈な印象を視聴者に与えます。
ものすごいインパクト!

■しかも誰もが自由にテレビ放送をできるわけではないですよね。
「明日から、俺、テレビ放送すんねん。見てね~」
なんて言っている人は聞いたことがない。
テレビ放送は免許制なんですよね。
免許がないと放送はできない。

■さらにNHK。エヌ・エイチ・ケー
全国津々浦々に放送されています。
おばあちゃん、おばあちゃん、お姉ちゃん、お兄ちゃん、お母さん、お父さん、ぼく、わたし。
多くの人が見ているのがNHK。エヌ・エイチ・ケー

■未だに国営放送と思っている人が多いくらいですから、その放送内容に対する信頼性は他の放送局に比べて高いものがあります。
「NHKさんが言うてはんねやから、ホンマのことやないやろうか。うんうん、そうに違いないわ。」
てなことになります。

■特に他の放送局に比べて強く政治的に公平であることが要請されると思います。
政治的に不公平、つまり一方に偏った内容の放送をすることは許されないと言うべきでしょう。

■ですから知る権利の実質的な保障をするという観点からは、NHKをはじめとするテレビ局の放送の自由は制限されなくてはなりません。
放送法はその「制限」なんですね。
放送法は憲法上許された制限です。

■ではでは「戦争をどう裁くか」と言う番組が「政治的に公平」(放送法3条の2)であったのでしょうか。
「女性国際戦犯法廷」なるものがいかなるものか。
「法廷」というからには、適正手続きを経ているのか。

■長くなりましたので、この続きは後日。
乞う、ご期待!(って、誰も期待してへんわな・・・^^;)

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by asatte_no_houkou | 2005-01-15 02:50 | 社会の時間
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