『失敗』を繰り返さない方法を教えます
a0029616_23281035.jpg
■多くの犠牲者を出したJR西日本の脱線事故。
事故は「収益が第一で安全は二の次」というJR西日本の姿勢がもたらしたと言われている。
JRは事故原因を徹底的に追究し再び事故が起こらないよう努めていただきたい。

■先日、毎日放送「ちちんぷいぷい」(司会、角淳一)という番組に「失敗学」でお馴染みの畑村洋太郎教授が出演され、今回の事故についてコメントされていた。
失敗学とは、事故や失敗発生の原因を解明することにより、事故・失敗を未然に防ぐ方策を提供する学問である。
「人間は必ず失敗を犯し、戒め、そして忘れ、繰り返す」という人間心理学にも通ずる学問だそうだ。



ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)という、保険会社の社員が生んだ法則から発展した。
ハインリッヒの法則とは、1件の重大な事故が発生した場合、その裏には29件の重大事故予備軍があり、更にその裏に300件の事故予備軍が存在しているというものだ。

■大きな事故の発生には一定の周期があるらしい。
原発臨界事故は20年に1回
列車事故は30年に1回
これだけ歴然とした周期があるにもかかわらず、人はなかなか耳を傾けず失敗を繰り返す。
危険性を認識せずに、安全性を確固たるものだと疑わず信じこむ。
危険性に対し愚直に反応することが惨事を避ける方法であるにもかかわらず。

■日本人というのは失敗に学ぶというのが苦手だ。
なぜなら伝統主義に呪縛されているから。
伝統主義とは、過去にやった、あるいは過去に行われたという、ただそのことだけで、将来における自分たちの行動の基準とする倫理、あるいは行動様式(エートス)である。
つまり「永遠なる昨日的なもの」との行動様式。
そこには合理的な取捨選択という判断は介在しない。

■例えば、大東亜戦争。
日本は敗戦した。
理由は伝統主義に呪縛されていたから。
戦訓に学ばなかったから。
日本軍は失敗の研究をしなかった。
そのため負けた。

■「失敗学」で思い出したのが社会学者の宮台真司先生のこの文章。
歴史を学ぶ意味をわかりやすく説明されている。

では、歴史を学ぶとはどういうことか。
そのつど、どういう選択肢が客観的に存在し、あるポジションにいた人間が主観的にどういう選択肢群を認識し、そのうちどれを選択できてどれを選択できないと認識したのか。それはなぜなのか。それとは別の主観的な認識はありえなかったのか。

要は、客観的に利用可能な選択肢群を利用しつくす別の主体のあり方がありえなかったのかと絶えず問うことが、重要なんです。言い換えれば、将来ありうる似たような状況において、過去よりも多くの選択肢をうまく利用できるようにするための、シュミレーションをすることが大切と言ってもいいでしょう。

わかりやすく言うと、「失敗学」とか「失敗の研究」と呼ばれるものが典型的なんですよ。近代国家ではどこでも、敗戦に関わる「失敗の研究」を非常に重視してきています。日本だけがそれをしていません。だから僕たちは、歴史を学ぶということの意味が、未だにわかっていないんです。

敗戦などの失敗に注目するのは、失敗したにもかかわらず頑張ったという話ではない。選択肢群の読み違いがあったのではないか、選択を間違ったのではないか、それはどこに原因があったのか、情報伝達経路の問題か、判断した人間のキャラクターの問題か、という具合に逐一つぶしていくんです。歴史を学ぶとはそういうことです。(『絶望から出発しよう』宮台真司著)

■「日本にはいっぱい偉人がいたんだぞー!!」とか「アジアで最初に近代国家になったのは日本だぞー!!」とか言って自己満足していてもあまり意味がない。
重要なのは、過去の失敗に学ぶということ。
さあ、失敗に学ぼうじゃないか!

人気blogランキングへ
[PR]
by asatte_no_houkou | 2005-06-02 23:57 | 社会の時間
<< なぜ年間3万人もの日本人が自殺... 天皇陛下の田植えと『資本主義の精神』 >>