なぜ年間3万人もの日本人が自殺をするのか
<自殺者数>04年は3万2325人 7年連続年間3万人台
 04年中の自殺者数が3万2325人と前年より2102人(6.1%)減少したものの、98年から7年連続で年間3万人台を記録したことが警察庁の調査で分かった。50代の自殺者も10%近く減ったが、動機の半数近くを負債や生活苦などの「経済・生活問題」が占めており、依然としてリストラや失業など経済情勢に苦しむ中高年の実態を示した結果となった。(毎日新聞)

a0029616_0264662.jpg■自殺の分析については古典的な名著があります。
エミール・デュルケムの『自殺論』です。
デュルケムは社会学的な観点から自殺を解き明かしました。

■自殺というのはそれぞれの個人の個人的な意思で行うものだと思われがちです。
もちろんそういう側面もあるのでしょう。
でも個人的意思といっても、それを超えた社会によって規制され規定されている面もあります。
ですから個人的な要因のみからの分析だけでは不十分。
そこでデュルケムは自殺の社会的な要因を分析しました。

■デュルケムが自殺の統計を整理したところ以下のことが明らかになりました。



1、自殺は女性よりも男性に多い
2、青年よりも老人に多い
3、農村よりも都市に多い
4、一般市民よりも軍人に多い
5、結婚している者よりも独身者や離婚者に多い
6、カトリック教徒よりもプロテスタントに多い

3の点ですが、都市というのは、生活環境が激しく変化します。
そうすると従来の慣習や規範が急速に衰えて、人々は拠りどころを失い、どうして良いかわからなくなる。
これをアノミー的自殺と言います。

■アノミーについては小室直樹先生がわかりやすく説明されています。
アノミー(anomie)とは何か。
「無規範」と訳されることもあるが、それよりも広く「無連帯」のことである。・・・省略・・・

アノミー概念を発見したのは「社会学の始祖」E・デュルケム(フランス人、1858~1917年)である。デュルケムがアノミー現象を発見したのは、自殺の研究を通じてであった。彼は、生活水準が急激に向上(劇落の場合だけではない)した場合にも自殺率が増加することを発見した。

なぜか。生活水準が急上昇すれば、それまで付き合っていた人たちとの連帯が立たれる。他方、上流社会の仲間入りを果たすのも容易ではない。成り上がりと烙印を押され、容易には、付き合ってくれない。かくして、どこにも所属できず、無連帯となる。連帯を失ったことで、狂的となり、ついには自殺する。

これがアノミー論の概略。このように生活環境の激変から発生するアノミーを「単純アノミー」と呼ぶ。その心的効果は「自分の居場所を見出せない」ことにもある。どうしてよいか途方にくれる。そして正常な人間が狂的以上に狂的となる。

■さて日本人の自殺ですが、
 男女別では、男性2万3272人(前年比6.8%減)、女性9053人(同4.3%減)で、男性が7割を占めた。

 年代別では、▽60歳以上1万994人(同4.6%減)▽50代7772人(同9.8%減)▽40代5102人(同5.8%減)▽30代4333人(同5.9%減)▽20代3247人(同3.2%減)▽10代以下589人(同3.9%減)。未就学児童はゼロだったが、小学生は10人、中学生70人、高校生204人を数えた。

 50代で遺書を残しており動機が明確な2864人のうち、「経済・生活問題」が動機のトップで1341人(46.8%)だった。

 全体では、遺書がない場合を含めて、動機のトップは「健康問題」で1万4786人(45.7%)。次いで「経済・生活問題」7947人(24.6%)で、統計を取り始めた78年から97年までは1000~3000人台で推移していたが、総数が3万人台になった98年からは、過去最悪を記録した03年の8897人を除くと6000~7000人台で推移している。(毎日新聞)
だそうです。

■日本は日露戦争を機に重化学工業化と都市化が急展開し始めて、それにより地域共同体が空洞化、崩壊するようになりました。
高度成長の始まりとともに昭和30年ごろから、さらに急速に解体。

■その結果どうなったか。
本来的には機能集団に過ぎない会社が共同体になりました。
そして終身雇用や年功序列といった日本独自のシステムが作り出されました。

■ところがどっこい。
バブルがはじけて日本は大不況に。
本来、会社は機能集団です。
収益を上げて、構成員(株主)にそれを分配するとという目的を持つ機能集団。
共同体ではない。

■だから終身雇用なんて制度はなんのその。
リストラが始まります。
会社を放り出された企業戦士。
居場所がなくなる。
アノミーです。
無連帯です。

■となると、どうなるか。
・・・

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by asatte_no_houkou | 2005-06-05 00:23 | 社会の時間
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