『今後の日本の政局』 ― 屋山太郎氏の提言だよ!
a0029616_0312693.jpg

■政治評論家の屋山太郎さんの講演会に行ってきた。
テレビタックルなどに、たまに出演されているのでご存知の方も多いと思う。
白髪頭の、気の良さそうなオッサンである。

■私が屋山さんのことを知ったのは、10年ぐらい前だろうか。
「THE 21」という雑誌があるのだが、この雑誌に屋山さんの連載が掲載されていた。
毎回、屋山さんは、小難しい政策の内容をわかりやすく説明してくださるので、この連載は大変貴重な存在であった。




■さて今回の講演のお題。
それは『今後の日本の政局』である。
おお!これは面白そうじゃないか!

■ユーモアを交え、たまには辛口の言葉を発する屋山さん。
小泉総理のことを
「単細胞」
「理論的なことは言わないが、非常に反射神経の優れる政治家」
と評していた。

■一方、岡田前代表のことは
「ナスビみたいな顔」
「公平に事務を行う」
「性格は良いが、リーダーには向いていない」
と評していた。
屋山さんの辛口の批評に、会場は笑いに包まれていた。

■予定では1時間30分の講演だったのだが、終わってみれば2時間に及ぶものとなった。
でも屋山さんの話される内容はとても面白いものでぐいぐい引き込まれる内容であったので、全く飽きなかった。(でも、前に座ってたバーコード頭のオッサンは、コクリコクリと居眠りをしていた)

■さて講演の内容であるが・・・(ちょっと長いけど面白いので最後まで読んでね♥)

①郵政民営化の必要
・ 郵政民営化が改革の本丸。行革、財政構造改革、年金改革にもつながる。
・ 個人金融資産1200兆円の1/4、340兆円を官が握ること自体が問題⇒無駄な道路や橋(例えば、四国へ架かる3本の橋)
・ 340兆円に連なる特殊法人約50(他に地方団体3000)の糧道を断つ
・ 民営化されるとあらかたの特殊法人がつぶれる⇒行革
・ 法案には問題点が多い。
・ 結果として骨抜きになるかは、新しくできる会社のリーダー次第。


【私の感想】
■郵政改革が行革、財政構造改革につながることは話をされたが、なぜ年金改革にもつながるのかは話されなかったように思う。
■民営化されても財投債が買われる可能性が高いので、結局は特殊法人に金が流れるのではないだろうか?
■特殊法人改革の多くが「看板の架け替え」に終わっており、「入り口」だけでなく「出口」の改革もしっかりと残りの任期でやってほしい。
■持ち株会社が、貯金会社と保険会社の株の買戻しをする可能性が高い。結局、骨抜きの改革になるのではなかろうか。「郵政民営化の権化」である小泉さんが首相を辞めれば、「3年後の見直し」ごとに骨が抜かれていくように感じるが、どうだろうか。


②自民党圧勝の勝因
・ 近代政党への脱皮→都会の無党派層を吸収
・ 特定郵便局長会(大樹会、24万人)を切る→「改革」の旗を持つ
・ 反対者に刺客を送る。候補者を公募する。
・ 地縁、血縁主義、長老支配型からの脱出
・ 政策のコンセンサス型から多数決による民主主義型へ(=官僚支配からの脱出)


【私の感想】
■たしかに、今まで全会一致が慣行であった自民党総務会が多数決で採決がなされ、「ムラ社会」からの脱却が図られた。
■さらに大樹会との決別、候補者を公募などにより、利権体制からの脱却が図られたと言えると思う。
■しかし利権は郵政だけではない。自民党内には厚生族、建設族、農林族など多くの利権政治家がいる。現時点では、これらの利権がどうなるのかわからない。


③民主党の敗因
・ 民主党は連合に牛耳られている
・ 連合は官公労のいいなり⇒資本主義国では珍しい
・ 官公労がその代表を政党の中に送り込んで、党の方針を左右することなど他の国ではありえないこと。
・ 党内に『郵政公社を守る会』(約100人)が設立され、無理やり参加させられる。
・ 岡田氏らの郵貯、簡保の民営化論を圧殺⇒連合が圧力
・ 自民の民営化論に対して限度額引き下げ論では勝負にならず。
・ 改革に消極的と見られた。
・ かつての社会党のように、「官公労の党」とみられた。国民は日教組、自治労を嫌っている
・ 外交では旧社会党的体質『戦争がやってくる』と連呼。外交政策に信頼感なし
・ 官公労との決別を唱えている前原誠司氏に期待する。
・ 前原氏の外交政策は自民党とそれほど変わるものではない⇒政権交代がなされても外交方針があまり変わらないほうが望ましいので、これは良いことだ。
・ 前原・野田(佳彦)体制で民主党を再生させよ。
・ 旧社会党系の議員は今回の選挙で随分落選した⇒党改革のチャンス


【私の感想】
■テレビ朝日の「サンデー・プロジェクト」で小沢一郎さんも屋山さんと同じことを言っていた。「労組は口と人を出すな。応援だけに徹してろ」と。
■屋山さんは前原氏を高く評価しているようだった。
■このブログで何度か書いたとおり、日本はイギリスの二大政党制を手本にするべきだと思う。イギリスでは、新自由主義政策(サッチャリズム)を掲げる保守党と、「第三の道」政策を掲げる労働党の二大政党制だ。現在は労働党(ブレア政権)が政権を担っている。
■自民党は保守党、民主党は労働党をお手本にするべきである。

自民党(新自由主義)VS民主党(第三の道)


④日中経済はどう展開するか
・ 政冷経熱の実態を探る
・ 東アジア情勢に変化(華夷秩序の復活)
・ 果てしなき中華圏の膨張、地理的限界なし(東夷、南蛮、西戎、北荻)
・ 歴史認識の強要=大中華(中国)→小中華(朝鮮)→東夷(日本)の序列
・ ヤオハン・許文龍事件→中国投資急減
・ 偽造、コピー、特許侵犯は日常的⇒ホンダ、三菱電機はえらい目に
・ 統治機構は崩壊才前=04年汚職で立件した公務員43,757人(うち閣僚級11人、中央・地方局長級198人司法・警察1万人)


【私の感想】
■屋山さんは中国に対して手厳しかった。「馬鹿」発言を連発されていた。中国の反日的な行動を考えれば無理もないだろう。
■良くも悪くも21世紀は中国が「世界の主役」に躍り出る。日本はいかに対応するべきか。難問である。
■政治学者・経済学者の小室直樹さんは、「中国には近代資本主義を支えるエートス(行動様式)が欠ける」と主張されている(例えば、「契約」の概念がない)。てっちゃん(宮崎哲弥さん)も言っているが、資本主義の精神が欠ける中国は、日本にとって案外と恐るに足りない存在なのかもしれない。


⑤「東アジア共同体」構想は中国覇権への道
・ 中華圏からの離脱(聖徳太子)こそとるべき方針=1200年の安泰で文明開花
・ 福沢諭吉の『脱亜論』(1885)=中華圏との密着に警告
・ 「海洋国家連合」の形成=日、米、豪、ニュージーランド、インドの5カ国を中核に台湾、ASEANを加える。(大陸、朝鮮半島と距離を保つ)


【私の感想】
■このブログにおいて何度か「東アジア共同体の形成を日本は模索するべきだ」と書いた。しかし今回のお話を聞いてみて、再考の必要性を感じた。
■岡田民主党は明らかに「東アジア共同体」路線を志向していたが、前原民主党はどちらかと言うと、「海洋国家連合」の形成に移行するのではないか。
■それは前原氏のこの発言から窺える。
「共産党一党独裁で、経済は改革開放の市場経済という矛盾は早晩表面化し、その際に起こる社会変動は、日本にも大きな影響を与えずにはおかないでしょう。・・・省略・・・中国が食料、エネルギーの確保のために、より覇権主義的な傾きを見せる可能性は高いのです。もう一つ、中国経済の発展が自然環境に及ぼす影響も無視できない。・・・省略・・・周辺に位置する国としてはこれも頭の痛い問題です。・・・省略・・・中国を国際ルールに従わせるための戦略を、我々は常に意識していなければならないのです。」
「冷徹な現実問題として、やはり力を持った国が中国に対して睨みをきかしてくれるよう仕向けるしかないのです。アメリカのアジア太平洋地域でのプレゼンスの意義は、今後も極めて大きい。ASEAN諸国が日本に求める非常に大きなポイントは、日米同盟の円滑なマネジメントであると見ていいでしょう。」(『諸君』2002年10月号)

「石破さんは・・・省略・・・尖閣や日本のEEZ(排他的経済水域)問題もあって南方重視に転換していった。・・・省略・・・これは実に見識ある決断だったと思います。・・・省略・・・ただ、一部のマスコミから「中国を刺激する」と批判されたりもしましたが、尖閣への侵犯、EEZへの侵入等々、刺激してきているのは中国の側ですからね。
「日米共同でシーレーン防衛をやれば、周辺のアジア各国の利益にもなるし、アメリカからすれば頼りになる見捨てることのできないパートナーとして日本を位置付けることに繋がるでしょう。
「周辺事態法で定められている日本の周辺地域での有事の際に、集団的自衛権に抵触する武力行使の一体化とみなされる場合は、アメリカとの協力をしてはいけないことになっていますが、こんなことが実際に生じたら日米関係はその時点で破綻しかねない。」(『諸君』2004年12月号)
■前原氏がこの考え方を民主党の外交政策に反映させるつもりであるならば、自民党と民主党は、外交政策の面においては違いがほとんどなくなるように思う。
■これは一見、良くないことのように感じるが、政権交代ごとに国の外交政策の根本がコロコロコロと変わることは国際的な安定性の観点から妥当でないように思う。私たちは歓迎するべきことなのかもしれない。
■おそらく日本人の多くは「東アジア共同体」よりも「海洋国家連合」の形成の方を望んでいるのではないだろうか。

【今後の自民・民主両党のあるべき姿】
・外交政策の面では自民・民主両党の見解はある程度一致させる
・内政問題を両党の対立軸とする(「新自由主義」と「第三の道」)

人気blogランキングへ

【前原誠司 民主党代表就任記念】前原誠司関連本
[PR]
by asatte_no_houkou | 2005-09-18 00:57 | 政治・経済に一言
<< 【6か国協議】北朝鮮の「大勝利... 【在外選挙権判決】これは画期的... >>