『国家をめぐる政治思想マップ』をチラシの裏に書いてみました
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■毎日新聞夕刊に掲載されていた政治学者の仲正昌樹氏の論考を参考にして、チラシの裏に「『国家』をめぐる政治思想マップ」を書いてみました。
あなたはどの立場でしょうか?

■縦軸は、グローバル化の荒波から国民を守るために「国家による国民の抱え込み」をするのか(国民を守るための盾として国家による規制を強化するのか)、それとも「国家による抱え込み」を止めて、グローバル化の荒波に抗うことなく市場による自然な流れに委ねようとするのか。
横軸は、左派右派です。




■まず左派から説明します。
①は、リベラル左派です。
この立場は、国家による福祉や教育という形での財の再配分機能を積極的に評価します。

③は、ポストモダン系左翼です。
この立場は、言語・文化的共同体である「国民(ネーション)」を基礎として成立する19世紀的な国民国家の他者排除の体質に批判のターゲットを絞ります。

■この二つの立場は、国家が、自国民に特化した再配分・福祉政策を通して国民統合を強化することを容認するかという問題(①は容認、③は容認しない)について対立します。

ヨーロッパの政権与党の多くは、リベラル左派(①)の立場です。
例えばイギリス
サッチャー元首相は「新自由主義(④)」的な政策(サッチャリズム)により、「イギリス病」の克服に成功しました。

■しかし一方でそれにより多くの失業者を生んだため経済的格差が広がり、その結果社会不安が増大しました。
そこで政権交代が起こり、労働党のブレア政権が誕生しました。

■ブレア首相は「第三の道」という政策理念を採用し、サッチャーの構造改革路線(市場経済と個人主義)を前提としつつも再配分政策を実行し、格差拡大に歯止めをかけ社会的連帯を維持していきました(日本の民主党は、この「第三の道」路線を党の基本政策にすることを明らかにしました)。

■次は右派について説明します。
②は、国家共同体主義です。
この立場は、国家は公共投資などによって市場に積極的に関与し続けるべきだとします。

④は、新自由主義です。
この立場は、国家の経済に対する規制を可能な限り縮小して、グローバル化し続ける市場の自動的な調整に委ねようとします。

■郵政民営化をめぐる自民党内の対立は、こうした二つの立場を反映したものです。
自民党(小泉純一郎・竹中平蔵)は新自由主義(④)、国民新党(綿貫民輔・亀井静香)は国家共同体主義(②)です。
もともと自民党は公共投資による集権的再配分を積極的に行う政党だったのですが、小泉氏が自民党総裁になってから、新自由主義的政党に生まれ変わりました。

■財政赤字を生むバラマキは子孫からの収奪を意味しますから、これは正しい選択だと思います。
この自民党の路線は、おそらく小泉総理が退任した後も変わらないでしょう。

■最近、保守系の論壇誌(正論、SAPIOなど)に、自民党の新自由主義政策を批判した論文をよく見かけます(例えば西尾幹二氏や小林よしのり氏など)。
彼らの主張の根底には国家共同体主義(②)があるのだと思います。

【「チラシの裏に書いてみました」シリーズ】
4象限の『論壇思想マップ』をチラシの裏に書いてみました
『憲法改正をめぐる言論マップ』をチラシの裏に書いてみました

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by asatte_no_houkou | 2005-10-25 02:19 | 国家・ナショナリズム・愛国心
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