「筑紫哲也ニュース23」の愛国心特集を見たよ ― その1
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筑紫哲也NEWS23  シリーズ・ニッポン人 日本人の愛国心
小泉総理の靖国神社参拝でアジア諸国にこだまする、非難の声。
それはニッポン人の心に複雑な波紋を残した。
アジアに理解を示すものもいれば、日本人の誇りが傷つけられるものもいる。
揺り動かされるニッポン人の愛国心...。

そもそも愛国心とは何なのか? 憲法に愛国心、教育に愛国心、
「国を愛する国民」を育てるビジョンが着々と進む。
愛国心を求める潮流ができつつある中で今、考えたい。

■最終日の昨日(10月20日)は、宮台真司氏曰く「心情左翼のダッチワイフ」こと香山リカ氏(精神科医)が出演していました。
かつて香山氏は『ぷちナショナリズム症候群』という本を出して、とりわけ若者たちに広がる「ナショナリズム的なもの」について、精神科医の立場から分析をしていましたね。
今回もその「ぷちナショナリズム」についての説明をしていました。

■たしかに香山氏の指摘どおりの状況はあるように思います。
自己肯定感を得ようとして、自分と「国家共同体」とを一体化しようとする状況。
「弱い自分」を「強い国家」と一体化することによって、寂しさの埋め合わせをしようとする状況です。
このような状況は、人を国粋主義的行動に走らせます。

■国粋主義とは、自国民及び自国の文化・伝統を他国より優れたものとして、排外的に守り広げようとする考え方のこと。
宮台氏の言葉を借りれば、「お国のために!」と叫んでバンザイ突撃するのを奨励することです。

■国益(国民の利益)に適うか否かの吟味を欠いた「国粋」は子々孫々の利益を脅かし、「愛国」の本義を裏切ります(愛国と国粋とは違うのです)。
愛国者にとって、国粋主義者の存在は迷惑千万。

■外交に関して言えば、
「歴史的、地勢的な諸条件を勘案しつつ、相手から必要な反応を引き出し、国益(国民益)を最大化する。そしてその際には短期的な感情やルサンチマンに引きずられないでしっかりと徹底的に利得計算、貸借対照をする」
こういう態度こそが愛国的な振る舞いといえるでしょう。

■しかし現代社会に広まる「ぷちナショナリスト」たちの国粋的な態度(例えて言えば「貴様!帝国陸軍が負けると言うのか!」的な態度)。
これは、その愛国者の「愛国的な振る舞い」を脅かすものといえます。

■ではどうして自分と「国家共同体」を一体化しようとする状況が生まれたのでしょうか。
この背景にあるのはアノミー(anomie)です。
アノミーは、「社会学の始祖」E・デュルケム(フランス人、1858~1917年)が発見した概念です。

■戦後、天皇イデオロギーがアメリカの手により破壊され(天皇の人間宣言)、天皇共同体は崩壊しました。
そしてその後、高度成長の始まりと共に村落共同体は崩壊の一途を辿った。
会社共同体は平成不況によるリストラにより、あえなく崩壊。

■日本に存在してきたあらゆる共同体が崩壊・空洞化の憂き目に見舞われます。
今、小泉自民党の新自由主義政策により、さらに共同体が破壊されようとしているのは、小林よしのり氏の指摘どおり(「SAPIO」連載「新ゴーマニズム宣言」)。

■その結果生じた現象がアノミーです。
つまり共同性の消滅での行動前提の欠落
無連帯の状態です。
どういうことか。

「筑紫哲也ニュース23」の愛国心特集を見たよ ― その2 へつづく

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by asatte_no_houkou | 2005-10-28 14:14 | 国家・ナショナリズム・愛国心
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