【悪玉】ラクをしちゃいかん。思考停止をしちゃいかん【善玉】
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・・・善玉・悪玉的な考え方は、我々人間が行動力には勤勉でも、知的には怠惰な存在であることに原因している。
昔から、困難な状況に直面したときの人間の態度は、いつも判で押したように同じであった。
そんなとき人間は、いつも非難すべき悪い人間や悪いものを見出して、それを血祭りにあげてきたのである。
そしてそれは、二重の意味で人間の知的労働を省いてきた。
まず、それは単純明快であった。
次にそれは、普通の人々の方は何も変化しなくてもよく、それまでどおりの生活をつづけることを可能にするものであった。
もちろん、このような思考法で問題を解決することはできない。
しかし悪役を除去する必要が、人間の闘争心を駆り立て、人間を行動的に勤勉にさせた。
しばしば、悪玉と善玉の間に闘争が行われた。
そして闘争というものは人間を酔わせるものである。
闘争のあとで人間は、問題が解決されたと思うことができる。
(高坂正堯著『国際政治-恐怖と希望』中公新書)

■物事ってのは、森羅万象、何事も様々な面があると思います。
悪い面、良い面
え?!「そんなこと言われなくてもわかってるよ」って?
しかし、「わかっちゃいるけどやめられない」のが人の世の常。
人は往々にして、一方の面、とりわけ悪い面をクローズアップしたがります。

■例えば、・・・




■例えば、訳のわからん問題が起こった場合、人は「悪玉」「悪役」を見つけ出す。
「仮面ライダー」におけるショッカーみたいな存在(絶対的な悪)を。
そして「こいつが悪い!絶対的に悪い!」と徹底的に糾弾し、血祭りに上げ、カタルシス(感情浄化)を得る。
スッキリする。

■この場合、多くは、自分たちの「外側」にいる者たちを「悪役」に仕立て上げます。
自分たちとは関係がない「外側」の人たち。
「あいつらが悪い。あいつらが絶対的に悪いのだ!」
テレビが悪い、ゲームが悪い、漫画が悪い、親が悪い、教師が悪い、アメリカが悪い、中国が悪い、旧日本軍が悪い、韓国が悪い、小泉が悪い、自民党が悪い、民主党が悪い、右翼が悪い、左翼が悪い、ブルジョアが悪い、ユダヤ資本が悪い、朝日が悪い、ナベツネが悪い・・・

人間は基本的にナマケモノです。
考えるのは人間にとって一番面倒なこと。
だから100%の善玉と、100%の悪役しか出てこない三文時代劇のように思いたがる。
それが一番ラクだから。
・・・省略・・・
正反対の方向にも一理あるという想像力を常にも持たなければいけない。
ところが、人間は自分の選んだ道が正義だと思いたがり、正反対を全面否定し、非難しがちです。
また、それがラクでもある。
そんなラクをしちゃいかんと僕は思う。
(岸田秀「毎日新聞夕刊2005年12月19日」)

■「悪役」を見つけ出した人たちは、その自分たちの判断を正当化する情報のみに目を配るようになります。
彼らにとって「悪役」は常に絶対的に「悪役」でなければならないからです。

■それゆえ正反対の方向の意見には目をそむける。
あるいはそれに猛烈に批判する。
しまいにゃ「こいつら(反対意見を言う人)はあいつら(悪玉)の仲間だ!」と言い出します。

米心理学者のL・フェスティンガーは「認知的不協和の理論」を唱えた。
新車の購入者は、比較検討した他車の広告を見ることを無意識に回避する傾向があるという。
つまり、ある選択をした人は、自らの判断の正当性と認知的一貫性を守るため、選択が誤っていたことを示す「不協和な」情報には目をつぶり、都合の良い情報を与えるメディアにのみ気を配りがちである。
(国際日本文化研究センター助教授 佐藤卓巳氏)

■私たちは「悪玉」「善玉」二元論から脱却するべきです。
世の中は、ハリウッドのバカ映画みたいに単純ではありません。
私たちは思考停止している暇はない。
さあ、怠けず知的労働に励みましょう!

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by asatte_no_houkou | 2006-03-21 01:30 | 社会の時間
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