「右翼」「左翼」の「二項対立」思考から脱却しよう!
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■1989年、ですから今から17年前ですね。
この年に大ベストセラーになったのが、大前研一の『平成維新』
この本の第一章の冒頭部分に以下のような一節があります。




日本では戦後、右翼がマーケティング戦略を誤ったために愛国心が芽生えなかった。
いや右翼が誤ったというよりは、知識人なるものが、戦前の体制や戦後の右翼に対立する概念として左傾化軸に追い込まれたために、むしろ日本では体制に関する議論が今日に至るまでおよそ不毛のままである、と言い換えよう。
議論のための素地が全く整備されていない、と言ってもよい。

例えば
(1)右翼的思想=愛国者=天皇制=君が代=日の丸=靖国参拝=改憲
(2)左翼的思想=組合=社会主義=護憲

ところで私は、右側(1)の方で言えば、右翼ではないが熱烈な愛国者で改憲の必要を感じている者である。
また左側(2)のほうで言えば、左翼ではないが反核(反原子炉ではない。兵器のみ)に与する。
つまり、どちらのカテゴリーにも厳密には入らないのである。
そしてなぜ入らないのかの議論をしたいと思っている。

しかしわが国では、例えば改憲論議をすること自体が(1)のカテゴリーに分類されてしまうため、憲法に限って議論をすることが難しい。
月刊誌も「右的」と「左的」に既に分類されてしまっているので、どの雑誌に投稿するかで、既に人間のパターン化が進められてしまうのである。

■どうでしょうか?
たしかに自民党と社会党が対峙する(といっても実のところは、この二つの党は裏でつながっていた)55年体制は、もうとっくの昔に崩壊しました。
それゆえ、17年前と比べたら、上のような硬直化した二項対立図式を採る人は減ってきていると思う。
今や、二大政党のどちらもが改憲の政党だしね。

■でも、インターネット上での言論は相変わらず硬直化しているように感じます。
特に「2ちゃんねる」などの巨大掲示板が酷い。
相も変わらずに「お前はサヨクか!」「お前はネット右翼か!」みたいな低レベルな二項対立の枠内での議論の応酬が繰り広げられています(もちろん一部には「まともな」議論もなされているけどね)。

■もちろん「2ちゃんねる」という掲示板は、特殊な面があります。
いわゆる「ひきこもり」などの脱社会的な人生を送っている人たちが、「ネタ」を媒介として連帯感情を持つことにより「寂しさ」の埋め合わせをするための場(北田暁大の言うところの「繋がりの社会性」)との側面を有していますから。
同じ「祭り」の時間を共有することにより、「居場所」を得る。
それゆえに、あえて「2ちゃんねらー」たちは硬直化した思考方式を採用しているのかもしれません。
「議論による真理の追究」ではなく「居場所の獲得」が目的だからね。

■それはさておき・・・
その硬直化した二項対立の思考方式で物事を考えている人が、2ちゃんねる以外の場所(ブログなど)でも多く見られるようになってきているように感じます。
政治学者の仲正昌樹が最近、つとに指摘していますね。
『諸君』2006年8月号から引用しますと・・・

表面に出ている「偽り」の裏こそが、混じりけのない「真実」であると単純に信じて、その「裏の真実」の真実性は疑おうとしない。
例えば自分が、自民党とか、右寄りのマスコミに「騙されていた」と一度「気付いた」ら、彼らの言っている「逆」こそが「真実」だと思い込む。
そういうのを「二項対立」思考という。
「左」に「騙された」といって、「右」になることも同じことである。

「自民党が主張しているのだから、何か裏があるのだろう」とか「朝日新聞が反対しているから、俺は賛成する」みたいなことを大真面目に言っている人がいますよね。
君らには主体性がないのか!
そう言いたい。

■最後に『諸君』2002年10月号での経済学者・松原隆一郎の発言から引用。
『諸君』7月号で「『諸君』『赤旗』オピニオン急接近の『なぜだ!?』」という対談を宮崎さんとやりましたが、いまや右派と言われる人たちと共産党の発言が似てくる時代になったのです。
そうなると、それぞれの発言の共通点はなにか、差異とはなにかについて、これまでの対立構造とは別に解釈する必要が出てきます。
こういうことが起きたのはやはり冷戦の終結によるのでしょうが・・・
『諸君』7月号とは、2002年7月号のことです。

冷戦はとっくの昔に終わりました(東アジアにその残滓が残っていますが・・・)。
頭を一度リセットして、硬直化した頭を柔らかくしてみてください。
常に相対化してみてください。
そうすると、違う「風景」が見えてきます。
ほら、そうでしょ?

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by asatte_no_houkou | 2006-07-28 02:51 | 社会の時間
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