■「内閣総理大臣が靖国神社に参拝することは、憲法20条1項後段・3項に違反する」という主張を時々見かけます。 この主張はつまり、首相が靖国神社に参拝することは、国家と特定宗教との結びつきを否定する政教分離の原則に反するというものです。 ■政教分離原則について説明しましょう。 ・・・と思ったのですが、面倒くさいのでやめときます。 憲法について解説したどの本にも書いてあると思うので、ご存じない方は各自勉強してください。 ■では、首相の靖国参拝は政教分離原則に反し憲法違反となるのか。 断言します。 なりません。 「憲法違反となる」との考えは、明らかに誤った憲法解釈と言わざるを得ません。 「宗教法人靖国神社」に対する信仰心を持つ人間がたまたま首相になり、靖国神社に参拝をした。 ただこれだけのことなのです。 憲法違反にはなりません。 ■信教の自由(より正確に言えば宗教的行為の自由)は、首相になったからといってそれ故に制約されることはありません。 一般私人と全く同様に保障されます。 信教の自由は、日本国憲法が最も大事にする価値である個人の尊厳(憲法13条)に直結する重要な人権です。 首相という地位にたまたま就いたからといって、この信教の自由(靖国神社に参拝をする自由)が制約されるということはないのです。 ■首相が、仏式で執り行われる友人の葬式に出席し、お焼香をした。 あるいは、お正月に神社に初詣をした。 これらの行為は、全く憲法違反の問題は生じません。 靖国神社参拝はこれらと全く同じことなのです(たとえ「内閣総理大臣」という肩書きで参拝したとしても)。 ■もちろん例えば、公金から玉串料・献花料が支払われた。 あるいは、内閣が靖国神社参拝を閣議決定した。 これらの行為は、明らかに憲法違反となります。 しかし、首相が靖国神社に参拝したからといって憲法違反にはなりません。 ■「なんだ、だったら靖国神社の問題と憲法は関係ないのか?」と思われた貴方。 そう思うのは、ちと早い。 首相の靖国参拝が憲法違反の問題が生じないからといって、それで全てオールオッケーにはならない。 なぜなら、靖国神社は事実上国家の協力がなければ運営できない状態になっていますから。 ■どういうことか。 戦没者の、靖国神社への合祀は、このような手順を踏んで行われます。 1、厚生省と都道府県が、靖国神社に祀る戦没者の選考をする。 ■つまり、合祀をするには、政府が「祭神名票」という名簿を靖国神社に送付する必要があるわけです。 これはつまり、政府が一宗教法人の宗教行為に積極的に関与するということです。 まさしく政教分離違反です。 政府が合祀という宗教行為に関与し、靖国神社を援助・助長する。 国家と特定宗教との結びつきを否定する政教分離の原則に抵触する行為といえましょう。 ■靖国神社と憲法との関係で最も重要な問題とは、首相の靖国参拝ではないのです。 この「祭神名票」の提出こそが重要な問題なのです。 いわゆる「靖国派」(靖国神社の改革など全く必要ないと考えている人たち)の方は、この点についてあまり考えていない方が多い。 ■私は、いわゆる靖国否定派ではありません。 関西に住んでいるので靖国神社にはまだ一度しか行ったことはありませんが、護国神社には毎年8月15日に参拝をしています。 本年も参拝をいたしました。 だからこそ、この問題をいち早く解決しておかなければならないと思うのです。 ■2006年8月8日、麻生太郎が靖国神社についての私案を発表しました。 次期首相候補の一人である有力政治家の方がこのような案を発表されるということは、大変に画期的なことだと思います。 私はこの麻生案に概ね賛成です。 この案だと、政教分離原則の問題をクリアーできると思います。 「靖国派」の方々は、麻生大臣を批判するのではなく、麻生案について真剣に検討するべきではないでしょうか? 【拙ブログ関連記事】 ・【靖国神社】麻生太郎案はなかなか良いぞ! この記事が面白かった/興味深かったと思った方は→人気blogランキングへ
by asatte_no_houkou
| 2006-08-15 11:49
| 靖国神社問題
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