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【大阪・姉妹殺害】山地被告に死刑判決 - 裁判を傍聴して感じたこと
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Excite エキサイト : 社会ニュース
姉妹刺殺、山地被告に死刑 大阪地裁
大阪市浪速区で昨年11月、飲食店店員の姉妹が刺殺された事件で、強盗殺人や放火などの罪に問われた無職山地悠紀夫被告(23)に対し、大阪地裁は13日、求刑通り死刑判決を言い渡した。
並木正男裁判長は、山地被告の責任能力を認めた上で「犯行は残忍、冷酷かつ非道で、被告は反省を示さず更生の期待も乏しい。刑事責任はあまりにも重い」と判決理由を述べた。

■今日(12月13日)は、朝から大阪は雨が降っていました。
そんな雨の中、午前9時25分ごろ、私は大阪地方裁判所本館北側駐車場に到着。
すでに100人ぐらいの方々が並んでおられました。

■最終的には200人近くの人数の方々が並ばれていたと思います。
社会を震撼させた大阪姉妹殺害事件の判決公判の傍聴券を求めて(傍聴券交付枚数は51枚)。
ワイドショーなどでたびたび報道されたということもさることながら、被告人山地悠紀夫のあまりにも冷酷かつ非情な犯行が世間の多くの人たちの関心を集めたのでしょう。
■傍聴券を取得した私は、足早に大阪地裁本館2階にある201号法廷へ向かいました。
できるだけ前方の席に座り、死刑判決を言い渡された山地悠紀夫がどのような表情をするか観察したかったからです。

■定刻どおり10時ちょうどに開廷。
報道機関によるカメラ撮影が行われた後、山地悠紀夫が入廷して来ました。
これまでの公判手続で見せた表情・態度と同じような、飄々とした表情・態度
それは、これから死刑判決を受けるかもしれない被告人の表情・態度とは到底思えないものでした。
服装は白、水色、茶のチェックのシャツに、ベージュのズボンといったものでした。

■10時10分ごろ、裁判長が落ち着いた低い声でゆっくりと判決文を読み上げ始めました。
「判決主文は後回しにします」
前列に座っていた記者の方々が一斉に席を立ちました。
死刑判決を言い渡す場合、主文を後回しにすることが通例となっています。
これは被告人が過度に動揺することを防ぐためです。

■裁判長が読み上げた判決理由は、検察側の主張にほぼ沿った内容でした。
こういう言葉を使うことは不適切かもしれませんが、「予想通り」の判決内容となりました。
詳しくは新聞に要旨が載るでしょうからそちらをご覧ください。
簡単に争点と結論をまとめますと、
・殺害時に財物奪取の意思があったか
⇒あった
・完全な責任能力はあったか
⇒あった
・計画的であったか
⇒計画的だった

■判決文を読み終わったあと、裁判長は被告人に対して「遺族の悲しみはどれほどかをもう一度考え、幼いころの人間性や家族との温かい交流を思い起こし、遺族の苦しみの万分の一でも理解してほしい」との趣旨のことを語りかけました。
この裁判長の言葉は山地に届いたかどうか。
無表情の山地の顔からは、うかがい知ることはできませんでした。

■今回、この事件を傍聴して感じたことは、山地のように死刑判決を受けること恐れない人間に対して私たちの社会はいかに対処していけばいいのかという点です。
池田小事件の宅間守といい、奈良女児殺害事件の小林薫といい、このような人間が増えているように感じます。
山地は捜査段階で「私は応報刑論者。今回の事件で死刑は当然」と供述していたそうです。

■前にも書きましたが、日本社会はアノミー(無連帯→無規範)がますます進行しているのではないでしょうか。
崩壊・空洞化した共同体(中間集団)をいかに再編し、連帯を作り出すか。
私たちに突きつけられた課題です。

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by asatte_no_houkou | 2006-12-13 19:33 | 犯罪・刑罰・裁判
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