西村真悟が「組織犯罪処罰法違反については無罪」となった件について
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■2月7日、衆議院議員西村眞悟に対して「懲役2年、執行猶予5年、組織犯罪処罰法違反については無罪」という判決が言い渡されました(この裁判の模様については、拙ブログの記事「西村真悟被告に猶予付き判決 - 裁判を傍聴して感じたこと」をご覧ください)。

■この判決で注目するべき点は、「組織犯罪処罰法違反については無罪」の点だと思います。
今回はこの点について考えたいと思います。



■なぜ「組織犯罪処罰法違反については無罪」となったのでしょうか?
これは何も検察側の主張する事実と裁判所が認定した事実が食い違っていたからと言うわけではありません。
あくまで法解釈の問題です。

■2月8日付の毎日新聞朝刊で刑事訴訟法の権威である白取祐司(北海道大学大学院教授)がこのように解説しています。
盗みの共犯者が盗品を譲り受けたとしても盗品等有償譲受罪に問われないのと同じ

■これは要するに、こういうことです。
2人のドロボーがお互いに力をあわせて盗みを行った後に、一方のドロボーが他方のドロボーに盗んだ物を譲り渡した。
この場合、2人のドロボーに窃盗罪が成立することは当然ですね。

■では、盗んだ物を、他方のドロボーが譲り受けた行為盗品等有償譲受罪が成立するのでしょうか。
通常、盗んだ物をドロボーから普通の人が譲り受ければ盗品等有償譲受罪が成立します。
ではドロボー同士で譲渡が行われた場合はどうか。
ドロボー⇒⇒⇒⇒(盗品の譲渡)⇒⇒⇒⇒ドロボー


■この場合は成立しません。
というのも被害者から物を盗んだことによって他人の財産権は一度侵害されているのだから、その後盗んだ物をドロボー同士で譲渡したからといって改めて別罪を成立させる必要性はないからです。
つまり窃盗罪でドロボーの行為は全て評価されつくしているということです。

■さて今回の西村真悟の事案。
西村は、鈴木という弁護士の資格を持たない人物に対して、弁護士名義を貸して法律上弁護士でないとできない行為をさせ、利益を得ました。
弁護士でないと法律上できない行為を弁護士でない者がすることを、非弁行為と言います。

■形式的に見ると、名義貸しの点で弁護士法違反、非弁行為という犯罪によって生じた利益を収受したという点で組織犯罪処罰法違反、となりそうです。
名義貸し→弁護士法違反違反
犯罪収益の収受→組織犯罪処罰法違反

■でも実質的に見ると、西村は鈴木の非弁行為を自らの利益のために継続的に利用しており、西村は鈴木の非弁行為に共同正犯的に加担したと言えます。
つまり西村自身も鈴木と一緒に力をあわせて非弁行為を行ったと言えるのです(つまり実質的に考えて西村も非弁行為を行ったと考える)。
(西村の行為+鈴木の行為)→非弁行為(弁護士法違反)

■これは、ドロボーが2人で力をあわせて盗みを行った場合と同じことと言えます(この場合は窃盗罪の共同正犯)。
なので2人で力をあわせて行った非弁行為の後に西村が鈴木から収益の収受を受けたとしても、ドロボーの行為が窃盗罪で評価されつくしているのと同じように、西村の行為も弁護士法違反で評価されつくしていると考えるわけです。
これが裁判所が「組織犯罪処罰法違反については無罪」とした理由ですね。
非弁行為を行った者⇒⇒(犯罪収益)⇒⇒実質的に非弁行為を行った者


■ただこの点には検察側は異論があるみたいで、検察側は控訴の方針のようです。
西村は鈴木と非弁行為を力をあわせて行っておらず、助けた(幇助した)に過ぎないと考えているようなんです。
このように考えるならば、法解釈が変わってきます。
今後も、注目していきたいと思います。

【追記】
大阪地検は控訴を断念したようです。
この事件は、日朝国交正常化を目論む官邸が国策捜査を行った(つまり西村は政治的に刺された)というのが大方の見方なのですが、小泉政権から安倍政権に変わって北朝鮮に対する圧力を強める路線に変化したことに伴って、この事件に対する政府の考え方が変化したということではないかと思います。

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by asatte_no_houkou | 2007-02-10 01:14 | 犯罪・刑罰・裁判
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