憲法を改正する前にしなければならないこと - 憲法を支える「地盤」
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■先日、憲法改正の手続きを定める国民投票法が成立しました。

■私は当ブログにて何度も繰り返し国民投票法の制定の必要性を主張してきました。
国民投票法を制定しないという立法不作為は、国民の憲法改正権(憲法改正国民投票権)を侵害するものであり、憲法違反だからです。

■ですので、今回の法制定を評価したいと思います。
「おうっ、お前ら、ようやったな」

■さて、おそらく3年後、私たちは憲法改正国民投票の機会に直面することでしょう。
その際、私たちは適切な判断をしなければなりません。

■適切な判断のためには憲法の意義を知らなければなりません。
法律の玄人にならなければならない。

小室直樹はこのように言います。
かつて川島武宜博士はその著書の中で、日本人の法意識の低さを嘆いて、こう書いた。
法律の素人は、法律さえ作れば、なんでも世の中は変わってしまうと思いがちである(例えば「親に親孝行せよ」という規定を民法の中に書けば日本中の人々が親孝行になる、というような考えがつい近年まで大まじめに主張されていた)。
だが、法律を作っても、それが現実に行われるだけの地盤が社会の中にない場合には、法律というものは現実にはわずかしか、時には全く「行われない」-社会生活を規制するという機能を果たさない-のである(川島『日本人の法意識』)

この川島博士の文章は、まさしく今の日本国憲法の状況に当てはまる。
憲法とは生き物である。
・・・省略・・・
それを現実のものにしようとする努力や基盤がなければ何の意味もない。
憲法は死んでしまうのである。
・・・省略・・・
日本でもようやく改憲論議が活発になってきた。
アメリカからの押し付け憲法ではなく、自前の憲法を持ちたいということなのだが、議論の結果、そこで素晴らしい新憲法が制定されたとしても、それでもって日本を悩ましている問題がきれいさっぱり片付くわけではない。
なぜなら川島博士が指摘したように、法律が機能するためには、それが支える「地盤」がなくては不可能だからだ。

■この「地盤」とは具体的には何か?
小室直樹の弟子のひとりである宮台真司がこう語ります。
憲法は、国家への国民の意思を書いた「覚書」です。
戦後日本には「この憲法でいい」という憲法感情はあっても、国家をどう操縦するかという憲法意思が乏しい。
だから何が書かれていても空文化するのです。
意思なき国民が大半になれば憲法は紙切れ同然です。
大事なのは、憲法に何が書かれているかじゃない。
国民が何を意思するかです。
ルソーのいう一般意思だから、日本人の大半がそう思っていると日本人全員が思えなければなりません。


■「地盤」とは、国家(統治機構)をどう操縦するかという憲法意思のことです。
国民の多くがこの憲法意思を明確に持たないと憲法は死んでしまう。
紙切れ同然になってしまう。

■憲法とは、統治権力が暴走しないように歯止めをかけるための、国民からの統治権力への命令です。
ですので、憲法が紙切れ同然になると、統治権力は好き勝手にやりたい放題をすることができるようになってしまいます。
これでは私たちは幸せな生活を望めません。

■私たち国民は、国家をどう操縦するかという憲法意思を明確に持ち、統治権力が憲法に違反する行為をしないように監視する確かな目を持つ必要があります。
でないと、いくら素晴らしい憲法を制定しようが全くの無意味となってしまうことでしょう。
これから3年、徹底的に議論をし、確かな「地盤」を作っていきましょう。

【オススメの憲法の本】
小室直樹著『日本人のための憲法原論』
長谷部恭男著『憲法と平和を問いなおす』

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by asatte_no_houkou | 2007-05-20 02:31 | 日本国憲法を考えよう
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