京都・神奈川親族連続殺人事件 - 「恨みのあるやつを殺してから死のうと思いました」
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■最近つとに目につく自暴自棄型の連続殺人事件
池袋通り魔事件の造田博、加古川7人殺人事件の藤城康孝、池田小事件の宅間守、姉妹殺害事件の山地悠紀夫・・・
いずれの犯人も挫折感を味わった結果として自暴自棄に陥り連続殺人という凶悪犯罪を犯している。

■2007年1月に、京都と神奈川で起きた親族連続殺人事件(注3)
この事件の被告人である松村恭造もその一人である。



■12月6日に弁護側、12月26日に検察側による被告人質問が京都地裁101号法廷において行われた。
検察官の質問に対して何度か多少、感情的にはなりつつも、すぐに冷静さを取り戻し質問に答える松村恭造。
豊富な語彙を用い犯行に至る過程、犯行の状況などを淡々と説明した(ただしその内容は凄惨なものである)。
「大学を中退した以降、破滅願望を抱くようになりました」
「どうせ自殺をするなら、恨みのあるやつを殺してから死のうと思いました」
「『毒を食らわば皿まで』の気持ちになり、もっと凶悪な事件にしてやれと思いました」

■成熟期を迎えた日本。
多くの日本人が将来に対して漠然とした悩みを持つ時代になった。
将来が不確実になったこの時代。
ちょっとした挫折感が人を自暴自棄に陥らせる可能性がある。

■しかも共同体の崩壊に伴って、幼児的な全能感を青年期を迎えても持ち続けてしまうことが少なからずある。
共同体の紐帯が廃れたがために人とのかかわりが希薄になり、社会化が不十分なまま大人になるのである。
自暴自棄型の犯罪はまさに現代型の犯罪と言えると思う。

■さてこの事件の最大の争点は、殺害行為時に被害者の持ち物を奪い取る意思(財物奪取の意思)があったのかどうかという点。
検察側は、あったとしている。
この場合、強盗殺人罪の成立することになる。

■一方、弁護側は、殺害行為時には財物奪取の意思はなかったとしている(犯行後に生じたとする)。
この場合は、殺人罪と窃盗罪が成立することになる。(まあただ、どちらの主張が認められようとも、結果の重大性・犯行態様・犯行後の情状などに照らして死刑の可能性がかなり高いわけであるが・・・)

■松村恭造は、自分の犯した罪は極刑が相当であるとの趣旨のことを述べている。
つまり彼は死刑になることを拒んでいないのである(おそらく一審で死刑判決が下されても控訴をしないのではないだろうか)。
そんな男がこの期に及んで嘘をつくのかどうか。
26日、検察側の「最初から金を奪う意思があったのではないか」という質問に対して、はっきりとした口調で「ありません」と答えていた。

■ところが一方で、岩井さん殺害の際、松村恭造はゴム手袋を着用し犯行に及んでいる。
つまり指紋が付かないようにしていたのだ。
「すぐに自殺するつもりなのになぜゴム手袋を着用したのか」との検察の問いに対して、松村恭造は「酒を飲んだり女遊びをしたりして、いい思いをした後に自殺しようと思いました」と答えた。

■要するに、すぐに捕まることにならないようにするためにゴム手袋を着用したと説明したわけだ。
しかし松村恭造は犯行前においては金をほとんど持っていなかった。
その点からすると、「いい思い」をするための資金の獲得のため、最初から金を奪う意思があったのではないかとも推測することができる。

■12月26日(注1)で証拠調べ手続きが全て終了したことになる。
次回の期日(2008年1月30日午前10時)は論告である。
おそらく検察は死刑を求刑するであろう。
未だ破滅願望を抱き、3人目の殺害も考えていた(注2)男に対しては、終身刑のない日本においては死刑しか選択肢がないと思う。

(注1)この日、弁護側から精神鑑定の申し出があったが、却下された。
(注2)被告人質問において松村は、嫉妬心から同級生の殺害(3人目の殺人)を考えていたことを明かにした。
(注3)この事件の概要をお知りになりたい方はこちらへ

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by asatte_no_houkou | 2007-12-28 16:42 | 犯罪・刑罰・裁判
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