カテゴリ:国家・ナショナリズム・愛国心( 23 )
右翼と左翼は同じなんですよ
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・・・・こうした「元気の出る」提言とともに読めるのが、『諸君』で東洋学園大准教授、櫻田淳による一部「保守・右翼」知識層の批判だろう。「東京裁判史観」を激しく批判する彼らが、戦後日本を嫌悪して<自らの体験とは無縁の「古き良き日本」の風景を思慕するならば、それは、「輝かしい共産主義社会」を夢想した>かつての左翼と同じだと、「観念論」を批判する。
むしろ、戦後の歩みによって、結果として<国際社会における日本の「声望」は確かに定着している>。それこそが、日本の保守が守り発展すべきものだろう。

2009年3月20日 毎日新聞夕刊「論壇早読み斜め読み」


は、左翼が多かったんですよね。
左翼とは、日本の「現在」と「過去」を否定して、「未来」を美化する人たち。
「未来」に「輝かしい共産主義社会」があるって。

は、右翼が増えてきた気がします。
右翼とは、日本の「現在」と「未来」を否定して、「過去」を美化する人たち。
「過去」に「古き良き日本」があるって。

翼も右翼もどこかに理想社会があると考えます。
それゆえ、彼らのイメージする美化された理想社会とは程遠い「現在」の日本に対して嫌悪感を抱いています。
ですので、日本をそれぞれのイメージする理想社会に変えたいと考えます。

翼と左翼、どちらも原理主義的です。
それゆえ、枝葉末節にまでこだわります。
ですので、一切の妥協を許さず、議論が過激化する。
理想社会実現のために暴力(テロ)をも肯定します。

は左翼だった人が今は右翼に転向しているケースがたくさんあります。
昔、毛沢東主義者だった人が今は排外主義的な右翼活動をしているというケースもあるみたい。
時代の流れに応じて思想を変えてみても、頭の硬さは相変わらずだったってことでしょうかね。

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by asatte_no_houkou | 2009-05-29 02:11 | 国家・ナショナリズム・愛国心
憲法・国家・愛国心 - 日本の将来のために
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前回、憲法学の権威、長谷部恭男
「多元的な価値の公平な共存」を目指すのが近代の立憲主義の根本的な考え方だ。
という言葉を紹介しました。

■様々な異なる人生観や世界観を持つ人々(個人あるいは共同体)が皆、公平・公正に、幸せに生きていくことができるようにすること。
これが憲法の考え方なわけです。

■憲法とは、国家の役割を規定する国民との約束事です。
ゆえに「多元的な価値の公平な共存」ができるように利害調整を図ることが国家の役割であるということになります。

■ここで、愛国心の意義が明らかになります。
すなわち、「多元的な価値の公平な共存」という役割を担う国家をそれにタダ乗りせずに支える志が、愛国心の意義だということです。

■崇高なる国家共同体と自分とを一体化させて、「我々は優秀な民族なのだ!」とお隣の国の人たちみたいに恥ずかしげもなくわめき散らす。
これは愛国心を持つ者の振る舞いでは決してありません。
単なるヘタレな国粋主義です。

■憲法、国家、愛国心、これらの意味を誤解せずに正確に理解する。
これが主権者として、憲法改正の問題を含め日本の将来を考える上で最低限必要なことではないでしょうか。

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by asatte_no_houkou | 2007-01-13 01:53 | 国家・ナショナリズム・愛国心
教育基本法改正 - より重要なのは「国家」について考えることでは?
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■今、教育基本法を改正するべきか議論されています。
主な争点は「愛国心」を盛り込むか否か。

■正直なところ、たとえ教育基本法に「愛国心」を盛り込んだところで、私は特段何にも変わらないと思います。
「暗記科目」が一つ増えるだけ。
あるいは子供たちは通知表での評価アップを目指して「愛国者」を演じるだけ。

■教育基本法が改正されようがされまいが、そんなのどうだっていいのです。
「右」の人は過剰な期待を抱きすぎ。
「左」の人は過剰な不安を抱きすぎ。

■より重要なことがあるはず。
それは「国家」とは何かについて日本人がきちんと理解することです。

■戦後、日本人は「国家」についてあまり考えてこなかった。
だから、何時まで経ってもどうでもいい議論を繰り返すのです。

■そこで足りない頭を捻りに捻って、僕は、中学生の方にも理解できるわかりやすい言葉で「国家」について論じてみました。
よろしければ参考にしてみてください。

【中学生のための『国家』入門の入門】
第1回「国家って、なんだろう」
第2回「国家と憲法はどういう関係なの?」
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」前半
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」後半

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by asatte_no_houkou | 2006-11-16 02:46 | 国家・ナショナリズム・愛国心
中学生のための『国家』入門の入門 - 第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」後半
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まずは、第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」前半をお読みください。

■まあ、その点はさておき、このナショナリズムですが・・・
具体的な内容、例えば文化とか民族とか宗教とかいったものを伴わないようにしなければならないと思います。
それはなぜか。
内部的な面外部的な面の両面で弊害が生じるからです。

【具体的な内容(文化・民族・宗教)を伴った場合の弊害】
・内部的な面
・外部的な面

■内部的な面での弊害とは、排外的になるということです。
具体的な内容を伴ったナショナリズムは、少数者の人たちを排除し差別迫害の対象としがちです。
国民の中には、具体的な内容を受け入れられない人たちがどうしても出てきますよね。
その人たちへの迫害、差別を帰結しないようにしなくてはなりません。
となると、ナショナリズムが具体的な内容を伴わないようにしなくてはならないと思います。
【具体的な内容(文化・民族・宗教)を伴った場合の弊害】
・内部的な面 ⇒ 少数者への差別・迫害
・外部的な面

■外部的な面での弊害とは、停戦が困難になるということです。
国家というものは、常に戦争をする可能性のあるものです。
なぜなら、戦争は、国家間の国際紛争を解決する最終的な手段となるものだから。
国際社会において主権国家が並存する以上、国際紛争が必ず生じてしまいます。
国際紛争が基本的には必ず解決をしなければならない。
となると、紛争状態にある国家間において、戦争という解決手段が採用される可能性が出てきます。

■国家と国家が戦争するとき、もしそれが宗教戦争になれば・・・
そのときは許すことができない無条件の戦いとなってしまいますよね。
妥協の余地がなくなっちゃう。
徹底的に殺し合いをしなくてはならなくなる。
そのため、停戦をすることが困難になってしまいます。
「この辺で手打ちとしよう」とは、なかなか言えなくなるんです。
これは大変に危険です。
【具体的な内容(文化・民族・宗教)を伴った場合の弊害】
・内部的な面 ⇒ 少数者への差別・迫害
・外部的な面 ⇒ 停戦が困難

■ですので、ナショナリズムに文化・民族・宗教といった具体的な内容ができるだけ盛り込まれないようにしなければなりません。
文化や民族、宗教といったものは、それぞれの共同体(例えば家族、地域)が育み、そして伝えていくべきものだと思います。

■近代国家には、ナショナリズムが必要不可欠です。
ナショナリズムなくして近代国家は存立し得ないのです。
でも、できうる限り、文化・民族・宗教といった具体的な内容が伴わないようにする必要があるのです。
対内的に差別や迫害を回避し、対外的に停戦を可能とするためです。

■あっ!時間が来ちゃいましたね。
全3回にわたり、お話して参りました、中学生のための『国家』入門の入門。
いかがでしたでしょうか?
では、またの機会にお会いしましょう。
ご清聴ありがとうございました。

【中学生のための『国家』入門の入門】
第1回「国家って、なんだろう」
第2回「国家と憲法はどういう関係なの?」
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」前半
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」後半

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by asatte_no_houkou | 2006-07-31 13:23 | 国家・ナショナリズム・愛国心
中学生のための『国家』入門の入門 - 第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」前半
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■はい、皆さん、こんにちは。
今日は、中学生のための『国家』入門の入門の第3回目ですね。
今回が最終回となります。
では早速始めたいと思います。

前々回は「国家とは何か」前回は「国家と憲法の関係」についてお話させていただきました。
今回は、ナショナリズムについてお話させていただきます。
■さてさて、ナショナリズムとは何でしょう?
なかなか、パッと明快に説明できませんよね。
前にバスの喩えで国家を説明しました。
覚えていますか?
バス   ⇒  国家
運転手 ⇒  統治機構
乗客  ⇒  国民


■世の中には、たくさんのバスがありますよね。
「アメリカ」というバス、「中国」というバス、「ウガンダ」というバス、「トリニダード・トバゴ」というバス・・・
いろんなバスが走っています。

■そんな中で、何ゆえに私たちは「日本」というバスを選んだのか。
その「日本」というバスを選んだ理由こそが・・・
そう、ナショナリズムなのだと思います。

■ナショナリズムは、近代国家成立にとって欠かすことができないもの。
近代国家存立の基礎となるものです。
国民としての意識、言い換えれば「連帯性の原理」
「同じ国の国民だ」という連帯感を持つことです。
この連帯感が欠ければ、近代国家は一挙に崩壊することになるでしょう。

■この同じ国民としての連帯感情は、自然に生まれてくるとは限りません。
日本の場合は、たまたま大陸から孤立した島国ですから、この連帯感情を自然に生まれる感情と思いがちですが、そんなことはありません。
これは外国へ行くとすぐにわかりますね。

郷土への愛情(パトリオティズム)、これは自然に生まれる感情です。
自分が生まれ育った郷土への愛情。
例えば、
故郷近くなれば、城の天守閣こそまず目をよろこばす種なれ。低き家、狭き町、淋しき松縄手、丈高き稲の穂、鼻の尖に並びたる連山、おさなき頃より見慣れたる一軒家、見るもの皆莞爾として我を迎うるがごとし、いずれなつかしからぬはなし
(正岡子規「故郷」)
こういうのが郷土への愛情、つまり愛郷心です。

■一方、ナショナリズム。
これは近代国家とともに生まれた人為的なもの、つまり前近代から近代へと移行するに際して人の手によって作り出されたものなのです。
国民教育(国語の教育など)の結果として生まれるものなんですね。

■日本においては明治期になるまで、多くの日本人には「日本人としての意識」なんてありませんでした。
そこで、どうしたのかというと・・・
明治政府が、天皇をシンボルとして用いることにより(天皇教)、人為的にナショナリズムを涵養していったのです。
まあ、この点については話し出すと長くなるので、以上にします。

■さて、このナショナリズム。
多民族国家で、しかも広大な領土を有する国においてはその涵養には大変な努力が必要となります。
アメリカなんて、至る所に星条旗が掲げられていますよね。
これはなぜかと言いますと、そのようにしないと、連帯感情が薄れてしまうからです。
ですので、常に連帯感を鼓吹する必要があるんです。

中国もそうですね。
いろんな民族が入り混じっています。
だから、ナショナリズムを煽り立てないとダメなんです。
いわゆる反日教育ってのは、そのための手段なんですね。
日本人としては、いい迷惑ですが・・・

■もともと中国人は、「中国人としての連帯感情」が薄いようです。
一方で強く持っているのは、自分の所属する共同体(宗族、パオなど)への帰属意識。
なので、もしかしたら早晩、中国は分裂してしまうかもしれません。
春秋戦国時代や三国志の時代に逆戻りする可能性があります。

後半へ続く

【中学生のための『国家』入門の入門】
第1回「国家って、なんだろう」
第2回「国家と憲法はどういう関係なの?」
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」前半
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」後半

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by asatte_no_houkou | 2006-07-31 02:31 | 国家・ナショナリズム・愛国心
中学生のための『国家』入門の入門 - 第2回「国家と憲法はどういう関係なの?」
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■はい、皆さん、こんにちは。
今日は、中学生のための『国家』入門の入門の第2回目ですね。
前回は「国家って、なんだろう」というテーマで、国家の意義についてお話しました。
今回のテーマは「国家と憲法はどういう関係なの?」です。
では早速、話を始めたいと思います。

■前回お話をしました、国家の3要素を覚えていますか?
1.国民
2.領土
3.統治権
3の統治権ですが、これは以下のように定義できます。
その領土に存在する人や物、さらに領土外に存在する国民を支配する権力


■前回お話しましたとおり、立法権・行政権・司法権の総称ですね。
この統治権の行使を担当するのが、統治機構です。
裁判官として刑事被告人に刑罰を言い渡したり、警察官として犯罪の被疑者に手錠をかけて逮捕したり、税務署の職員として滞納者から税金を取り立てたり・・・
これらはいずれも統治機構による統治権の一作用の具体的な行使の例です。

■ではこうした統治権は、如何様にして作られるのでしょうか。
それは契約です。
契約ってのは、わかりやすくいえば強い拘束力を持つ約束のことです。
この契約によって統治権力は作られるわけです。

■はい、みなさん、突然ですが、国家も社会もない状態を頭に思い浮かべてみてください。
国家も社会もない状態、これを自然状態といいます。
社会がないのだから、身分はない
身分がないのだから、それに伴う制約もない
社会的な諸要素を全部捨て去った、スッポンポンの状態。
おじいちゃん、おねえさん、タコ社長、平社員、上司、部下、親分、パシリ、ボケ、アホ、ハゲ、カツラ、ざこば、べかこ・・・
これら全部、「な~んに~もな~い、な~んに~もな~い、まっ~た~くな~んに~もな~い」(「はじめ人間ギャートルズ」より)状態。
思い浮かべましたか?

■このような状態では人々は自由であり平等です。
身分がないんだし、それに伴う制約もないんだから、そりゃそうだ。
この自由でありかつ平等な人々が、契約を結んだ。
対等に契約を結んだ。
その契約により出来上がったのが・・・
そうです。
統治権力です。

■なんでわざわざ、こんな契約をして統治権力を作ったのでしょう。
それは、一言で言えば、紛争解決のためです。
自然状態では、人間は生命・身体の自由を有します。
それゆえに、身体を自由に動かすことができる。
となると、働くこと(労働)により得られた財産は、この人の所有物になる。
となりますと、どうしても財産を持つことができる者持つことができない者が生じてしまいます。
それゆえに、「もてる者」と「もたざる者」との間で紛争が起きてしまう。
そこで、紛争解決のために、人間同士が契約を締結して統治権力を作ったわけです。

■まあ、要するに、統治権力は、契約当事者である人間に対して奉仕するために存在するわけですね。
統治権力としての国家の目的 ⇒ 国民への奉仕
ですので、統治権力が国民を不幸にするのならば、国民は契約を改めればよい。
つまり革命を起こして新しい統治権力を作り直せばよいわけです(抵抗権)。

■この統治権力を作り出した契約。
そう。
これこそが、憲法のことなのです。
憲法という契約によって、統治権力は作られる。

■ですから統治権力は憲法に反する行為をすることは絶対にできません。
なぜなら契約違反になってしまうから。
統治権力は絶対的に憲法に拘束されるのです。
みなさん、政府が憲法に違反する行為をしていないかどうか常に目を光らせてくださいよ。
これは契約当事者である私たちの責務と言えるでしょう。

■ちなみに多くの国の憲法は成文法ですよね。
成文法とは、法を文章化することです。
なぜ多くの国が成文法なのかといいますと、憲法が契約である以上、文章の形にしておく方が望ましいとの考えからなんです。

■はい、今日は時間が来ましたので以上と致します。
次回はナショナリズムについてお話したいと思います。
フンガッフッフッ!


【中学生のための『国家』入門の入門】
第1回「国家って、なんだろう」
第2回「国家と憲法はどういう関係なの?」
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」前半
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」後半

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by asatte_no_houkou | 2006-06-23 00:59 | 国家・ナショナリズム・愛国心
中学生のための『国家』入門の入門 - 第1回「国家って、なんだろう」
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■はい、みなさん、こんにちは。
今日はですね、国家の基礎の基礎について、わかりやすくお話したいと思います。

■さて、みなさんは、「国家とは何か」と聞かれて即座にその意義を答えることができるでしょうか?
答えられる人、手を挙げて。
う~ん、誰もいないようですね。
これは無理もありません。
国家の意義について、あまり学校の授業では教えてくれませんからね。

■これまで学校の授業で国家の意義について、きっちりと取り扱われなかったのは、おそらく学校の先生方の間にマルクス主義的な考えが席巻していたからではないでしょうか。
マルクス主義では、国家は、支配階級が労働者から搾取するための暴力装置であって、革命による階級闘争の成就の結果、死滅に向かうと考えられてきたわけですから・・・
要するに、国家は「悪」だから、いずれ廃絶されると。
【マルクス主義】
社会主義革命(労働者階級による独裁)→共産主義革命(生産力水準が上昇した暁に国家廃絶)

■そりゃね、インターネットの普及、経済のボーダレス化の点からすると、今のままの国民国家というものがこれからも先、100年、200年先も続いていくかどうかはわかりませんよ。
でも国家そのものが廃絶されることは未来永劫ありえないでしょう。

■だって、そうでしょう?
例えば犯罪が発生したとき、通常は被疑者をとっ捕まえて、起訴し、そして裁判で犯人を確定することになりますが、これは国家(統治機構としての国家)という合法的な実力装置があってこそ可能となるのです。

■また、私たちが生活をしていくためには、税金をどうするか、どこに橋をかけるか、福祉をどうするのかなど、国家の構成員全員を拘束する事項を決定する、誰もが「それならよし」と納得する正統的な決定手続きの存在が必要不可欠となりますが、これは国家というシステムなくして存立しえません。
国家廃絶などありえないのです。

■さて、「国家とは何か」ですが、通常はこのように国家は定義されます。
一定の限定された地域を基礎として、その地域に定住する人間が、強制力を持つ統治権のもとに法的に組織されるようになった社会


■これを細かく分割しますと
1、領土
2、国民
3、統治権(主権)
との3つの要素となります。

■これら3つの要素から国家は成り立っているわけですね。
1については、まあ、いいでしょう。
今、日本では北方領土、尖閣諸島、竹島が話題になっていますね。
2の「国民」の意義についてはいろいろと争いがあるところですが、とりあえずここでは深入りしません。
当該国の国籍を有する者と考えておいてください。

■さて3の統治権ですが、これは立法権、行政権、司法権の総称です。
これは学校の授業で習いましたよね?
この統治権の行使は統治機構が担当します。
国会、内閣、裁判所ですね。

■ここで確認しておきたいのはですね、今まで縷々説明してきたことからわかる通り、国家と統治機構は同じものではないということです。
国家≠統治機構
この点をきっちりと理解しておかないと、話がこんがらがってしまいます。
きちんと区別してください。
統治機構は、国家の3要素である統治権を担う組織に過ぎません。
要するに、国家の構成要素の一つですね。

■国家をバスに喩えて説明しますと、国家がバスならば、統治機構は運転手です。
国民は乗客
運転手が乗客の言うことを無視するなら、取り替えればいい。
抵抗権ってやつですね。
まあ、その前に合法的な政権交代ってやつがありますが。
国家    ⇒ バス
統治機構 ⇒ バスの運転手
国民    ⇒ バスの乗客


■はい、というわけで、時間が来ましたので、今回はこれまで。
次回は、「国家と憲法はどういう関係なの?」というテーマでお話したいと思います。

【中学生のための『国家』入門の入門】
第1回「国家って、なんだろう」
第2回「国家と憲法はどういう関係なの?」
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」前半
第3回「ナショナリズムって、なんだろう?」後半

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by asatte_no_houkou | 2006-06-19 01:24 | 国家・ナショナリズム・愛国心
【女系天皇問題】皇室を支える「異質」な原理
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■11月6日に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」で、女性・女系天皇問題が取り上げられていました。
その中でパネラーの一人である、てっちゃん(評論家の宮崎哲弥氏)が「天皇制は『差別の体系』である」と発言されました。

■この発言はとても重要なものだと思います。
ですので、今回はこれを取り上げたいと思います。
まずは番組での、てっちゃんとデーブ・スペクター氏とのやり取りをご覧ください。
「ぼやきくっくり」さんからの引用です。
 まずはありがちの「女性が天皇になれないのは差別だ」論をデーブが出してきました。「男性上位でおかしい」と。
 それに対して宮崎さんが「何がいけない?」。デーブは唖然。
 宮崎さん曰く、「天皇制は『差別の体系』ですよ。当たり前じゃないですか。『差別の体系』の中での問題でしょ?」 
 デーブに「何で認めるの?」と反撃されるも、宮崎さんは堂々と「じゃあ天皇制自体を否定することになるじゃないですか」。GJ!(≧▽≦)

■「天皇は差別の体系」。
これはどういう意味でしょうか。
これは要するに、皇室を支えている原理と、私たち一般の国民を支えている原理との間には、融合し得ない異質なものがあるという意味です。
では、どのような原理なのでしょうか。

■私たち一般の国民を支えている原理とは、民主制の原理です。
別の言い方をすれば、平等の原理
平等とは、立場の入れ替え可能性のことです。
つまり、君が僕の立場に立たされても我慢することができる、ということ。
もし立場が入れ替わったら我慢できないというのなら、平等ではないということになります。

■この考え方が、私たち一般の国民を支えている原理です。
憲法14条に保障されている「法の下の平等」のことですね。
近代民主主義社会は、この平等の原理を基礎とします。

■現行憲法は近代民主主義憲法です。
なので、憲法は、法の下の平等を保障する。
しかしそれは貫徹されていません(「飛び地」がある)。
皇室の存在があるからです。
皇室を支えている原理は、一般国民を支えている原理とは全く異なります。
それは何か。

世襲の原理です。
世襲とは、正統な血筋の子孫が代々受け継いでいくことですね。
この世襲の原理。
これは差別的・非近代的な原理です。
近代における平等の原理とは全く融合し得ない異質なものです。

平等の原理←――→世襲の原理

■このことは天皇陛下に人権があるのか、という議論と関係してきます。
繰り返しますが、皇室は一般の国民と違って世襲の原理で支えられています。
天皇陛下には現行法上様々な特権がある。
制約もいろいろとある。
職業選択の自由がなかったり、居住移転の自由がなかったり、婚姻の自由がなかったり・・・

■「法の下の平等」は合理的な差別を許容します。
差別があっても、それが合理的であれば許されるのです。
しかし皇位の世襲制や、特権、制約はこの「合理的な差別」で到底説明できません。
合理的差別論の射程を超えている。
「平等」の枠外と考えるべきです。

■一般の国民はどう頑張っても天皇陛下になれない。
ネットビジネスで金儲けして大金を掴もうとも、選挙で大勝して強大な権力を握ろうとも、天皇陛下にはなれません。
どう頑張っても、あなたは天皇になれない。
もちろん僕も天皇になれない。

■憲法が言う、平等が保障された「国民」とは、「立場の入れ替え可能な範囲」全体です。
ところが天皇陛下は、その「立場の入れ替え可能な範囲」には含まれない。
だって、そもそも私たちは天皇陛下になれないんだもん。
これはどういうことかと言うと、天皇陛下は、憲法上人権を享有できる主体である「国民」ではないということです。
ナ、ナント!天皇陛下には、憲法上人権が保障されていないのです(憲法の「枠外」の事象と考える)。

■最近、ニュースを見ていると、「憲法上、男女平等とされているのだから、女系天皇を認めるべきだよ」との意見を耳にします。
デーブ・スペクターも「女性が天皇になれないのは差別だ」と言いました。

■でも、これはおかしいですよね。
だって、皇室は一般国民を支えている平等原理とは全く異なる、世襲の原理によって支えられているのだから。
つまり天皇制は「差別の体系」なのだから。
「男女平等」の考え方は「男系男子」を否定する根拠にはならないのです。

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by asatte_no_houkou | 2005-11-08 02:38 | 国家・ナショナリズム・愛国心
「筑紫哲也ニュース23」の愛国心特集を見たよ ― その2
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前回の続きです。

■人間、とりわけキリスト教的伝統のない日本人にとって、連帯ほど重要なものはありません。
連帯がないと、たとえば三蔵法師がタクラマカン砂漠でさまよったような気持ちになります。

疎外感を抱いた者たちが、寂しさを埋め合わせするために何をしたか。
そう。
「大いなる共同体」「崇高なる精神共同体」である国家との一体化です。
「ぷちナショナリズム」的な状況です。

■かつての大学紛争や安保闘争、新左翼の活動と同型の現象ですね。
大学紛争で暴れた若者たちは、単に暴れたかっただけ。
連帯して暴れたかった。
「居場所」が欲しかった。
それだけの話。
今起こっている「ぷちナショナリズム」的な状況もそれと同じことなんだと思います。

■ちなみに中国や韓国での反日デモ
これも同型だと思います。
中国では貧富の差が広まり、とりわけ若者に疎外感が広がっていると聞きます。
韓国でも同様。
共同体崩壊による疎外感が広がっている。

■そこで強まったのが、反日ナショナリズム(もちろん反日教育の影響もあります)。
本来「反ナショナリズム」や「反愛国心」の人たちは、これらの行動も批判するべきだったはずなんですが、逆に理解を示してしまいました。
反日デモに対する日本側の批判的な動きには「右傾化だ!」「排外的だ!」と警戒感を示すくせにね。
彼らのダブルスタンダードには呆れますね。

■まあその点は置いといて・・・
アノミー状態にある日本。
疎外感を抱く人たちによる国家共同体への一体化(愛国心)が広まっているようです。
「強い日本」を求める若者たち。

■ただしこれは「前近代」的意味での愛国心(国粋)の話。
「近代」的意味での愛国心までを否定するわけにはいかないと思います。
近代民主主義を支える動機付けとしての意味での愛国心。
つまり国民の利益のために国家を操縦する意欲としての愛国心です。
これを否定するわけにはいかない。

■個人あるいは共同体が侵害しあわずに共生するためのルールを支える公共財。
それが、人民と統治権力とが、憲法という契約を結ぶことによって維持する法的共同体です。
つまり国家です。
その国家を国民の利益になるように操縦する意欲が、近代的意味での愛国心。
この点をきちんと整理して理解するべきだと思います。

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by asatte_no_houkou | 2005-10-28 22:21 | 国家・ナショナリズム・愛国心
「筑紫哲也ニュース23」の愛国心特集を見たよ ― その1
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筑紫哲也NEWS23  シリーズ・ニッポン人 日本人の愛国心
小泉総理の靖国神社参拝でアジア諸国にこだまする、非難の声。
それはニッポン人の心に複雑な波紋を残した。
アジアに理解を示すものもいれば、日本人の誇りが傷つけられるものもいる。
揺り動かされるニッポン人の愛国心...。

そもそも愛国心とは何なのか? 憲法に愛国心、教育に愛国心、
「国を愛する国民」を育てるビジョンが着々と進む。
愛国心を求める潮流ができつつある中で今、考えたい。

■最終日の昨日(10月20日)は、宮台真司氏曰く「心情左翼のダッチワイフ」こと香山リカ氏(精神科医)が出演していました。
かつて香山氏は『ぷちナショナリズム症候群』という本を出して、とりわけ若者たちに広がる「ナショナリズム的なもの」について、精神科医の立場から分析をしていましたね。
今回もその「ぷちナショナリズム」についての説明をしていました。

■たしかに香山氏の指摘どおりの状況はあるように思います。
自己肯定感を得ようとして、自分と「国家共同体」とを一体化しようとする状況。
「弱い自分」を「強い国家」と一体化することによって、寂しさの埋め合わせをしようとする状況です。
このような状況は、人を国粋主義的行動に走らせます。

■国粋主義とは、自国民及び自国の文化・伝統を他国より優れたものとして、排外的に守り広げようとする考え方のこと。
宮台氏の言葉を借りれば、「お国のために!」と叫んでバンザイ突撃するのを奨励することです。

■国益(国民の利益)に適うか否かの吟味を欠いた「国粋」は子々孫々の利益を脅かし、「愛国」の本義を裏切ります(愛国と国粋とは違うのです)。
愛国者にとって、国粋主義者の存在は迷惑千万。

■外交に関して言えば、
「歴史的、地勢的な諸条件を勘案しつつ、相手から必要な反応を引き出し、国益(国民益)を最大化する。そしてその際には短期的な感情やルサンチマンに引きずられないでしっかりと徹底的に利得計算、貸借対照をする」
こういう態度こそが愛国的な振る舞いといえるでしょう。

■しかし現代社会に広まる「ぷちナショナリスト」たちの国粋的な態度(例えて言えば「貴様!帝国陸軍が負けると言うのか!」的な態度)。
これは、その愛国者の「愛国的な振る舞い」を脅かすものといえます。

■ではどうして自分と「国家共同体」を一体化しようとする状況が生まれたのでしょうか。
この背景にあるのはアノミー(anomie)です。
アノミーは、「社会学の始祖」E・デュルケム(フランス人、1858~1917年)が発見した概念です。

■戦後、天皇イデオロギーがアメリカの手により破壊され(天皇の人間宣言)、天皇共同体は崩壊しました。
そしてその後、高度成長の始まりと共に村落共同体は崩壊の一途を辿った。
会社共同体は平成不況によるリストラにより、あえなく崩壊。

■日本に存在してきたあらゆる共同体が崩壊・空洞化の憂き目に見舞われます。
今、小泉自民党の新自由主義政策により、さらに共同体が破壊されようとしているのは、小林よしのり氏の指摘どおり(「SAPIO」連載「新ゴーマニズム宣言」)。

■その結果生じた現象がアノミーです。
つまり共同性の消滅での行動前提の欠落
無連帯の状態です。
どういうことか。

「筑紫哲也ニュース23」の愛国心特集を見たよ ― その2 へつづく

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by asatte_no_houkou | 2005-10-28 14:14 | 国家・ナショナリズム・愛国心